Bonsoir! 川古です。
みなさんは、自分は繊細な方だと思いますか。
それとも鈍感な方だと思いますでしょうか。
繊細だと感じている方は、日々何かしらの外的あるいは内的要因に苦しめられることが、多々あるのではないでしょうか。
僕はまさにそうです。
僕は自分が繊細であると思いますし、自覚しています。
(精神的な病気なのではないかと不安になったこともありましたが、故あってクリニックで診てもらった結果、どうやらそういうわけではなさそうです)
あれこれ調べていると、HSPというものがあることを知りました。
本記事では、繊細さゆえ悩みを抱えている方へ向けて
・HSPは病気じゃない
・HSPは武器になる
上記についてお伝えします。
HSPについて

HSPはHighly Sensitive Person (ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、非常に心が繊細な人のことです。
1996年にアメリカの心理学者兼セラピストのエレイン・アーロンによって提唱された理論・分類で、歴史的に見れば割と新しく、認知度はまだまだ低いかもしれませんね。
(僕も過去にメンタルクリニックへ行った際に話したところ「?」という顔をされた覚えがあります)
僕自身、割と最近知ったことでもあります。
HSPは一般的な精神病や疾患ではなく、あくまで特性です。
また「5人に1人」はHSPであると言われているので、花粉症持ちくらいの割合じゃないでしょうか。
なので、実は結構いるんです。
花粉症だって身体的なものですが、症状が酷いと本当辛いですよね。
(僕も最近は軽度ですが、花粉症持ちでもあります)
現代では鬱などが表層化され馴染みのあるものになりましたが、メンタルの問題って目に見えないだけに理解されにくい傾向があるように思います。
元々心理学等にも興味あり、メンタリストDaiGoさんを尊敬していたりするので、色々見たり聞いたりしているのですが、そんな中出会った一冊の本があります。
それが「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」(諸:イルセ・サン、訳:枇谷玲子)です。
「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」
僕がHSPについて知るきっかけになった本で、自身も同じくHSPの心理療法士であり牧師のイルセ・サン氏の著書になります。
・HSPの特徴について詳細に記載されている
・自己や相談者の体験を基にした解説もあり、認識が深まる
・問題解決に繋がるアドバイス等が優しいタッチで書かれている
・HSPの想いを代弁するかのような秀逸なタイトル
同書では、冒頭に「HSP自己診断テスト」が用意されています。
ここでは48項目の感受性に関する設問に、数字5段階の自己評価をつけることで、結果の合計値から自身にHSPの傾向があるかの診断が可能です。
購入時に勿論テストしましたが、やはりHSPの適正がありました。
また「テストは完全ではなく、コンディション等で変化する可能性もあるのであまり重く受け止めないでほしい」とのことですので、改めて本記事投稿前にチェックしてみました。
計算結果は数字で-52~140になるのですが「値が60以上ならHSP、数字が大きくなればなるほど敏感」になります。

内容詳細やチェック自体は、試し読み機能がある販売サイトでも確認可能な場合がありますので、是非一度試してみてください。面白いですよ!
結果としては、現時点で僕は90点だったので、そこそこなHSPであると言えます。
因みに、声優の細谷佳正さんがラジオ番組で同書を紹介し「自分の説明書みたい」であると公言されていたことを知り、勝手ながら親近感を覚えました。
恐れ多いですが、個人的にお友達になりたいですね!
「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」は、まさしくHSPの解説書みたいな側面があると思いますので、該当者はきっと、目を通せばハッとさせられると思います。
また、自身がそうでなくとも、身近な人で存在する場合も、理解を深めるためにオススメしたい書籍です(※翻訳されたものであるため、言い回し等、日本人からすると少し独特に感じるかもしれません)
HSPの苦悩

僕は心理学の専門家ではありません。
なので、もし現在、その他精神的な病の疑いがあったり、苦しんでいる場合は、一度精神科等に行かれることをおすすめします。
「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」を参考にしつつ、あくまでHSPの一人としての目線で書いていることを、ご容赦ください。
以下に主観も含め、HSPにおける代表的な悩める点をまとめてみました。
- 傷つきやすい
- 気にしやすい
- 誤解されやすい
- 自尊心が低い
傷つきやすい
とにかく第一声に挙がるのがこれでしょう。
繰り返しになりますが、HSPは病気ではなく特性です。
HSPをただ弱者として括ってしまうのは簡単です。
甘え、女々しい、メンヘラ、繊細ヤ〇ザ、生きづらそう etc…
HSPと一緒くたにされがちですが、理解出来ない、横着する人からすれば上記の言葉で簡単に片づけられてしまいます。
(勿論一概には言えず、HSPとは別にカテゴライズされるケースもあるとは思いますが)
ともあれ、僕はこれらの言葉が嫌いですし、HSPに対してはご法度です。
こういった言葉って、まさに鈍感な世界の人々に限って巧みに使ってくるからまた厄介ですよね。
(とはいえ、僕もたまにその場の勢いで調子にのって使ってしまうことはありますが、大抵後悔するのはいつも自分ですし、反省しています)
HSPはその他多くの人にとってダメージの無いことでも、痛みとして抱えてしまうことがあります。
そのため、口論等のケンカには圧倒的に不利です。
なぜなら、同じ罵倒の言葉を言い合ったとしても、HSPにとっては心的ダメージが何倍にもなってしまうからです。
輪ゴム鉄砲で撃ち合ったとして、相手にとってはそのままの威力でも、自分はAK-47で撃ち抜かれたような感じです。
なので、不毛な争いには部が悪いという側面があります。
そうでなくても争い事を好まない人は多いんじゃないでしょうか。
また、HSPにも分類があり、HSS型という「外交的なのに傷つきやすい」タイプも存在するようです。
HSPは70パーセントが内向的、30パーセントが外交的と言われており、その中でもマイナーな部類に属する方ですね。
僕の場合はどうやらこれに当たるようで、人と話したりするのも好きな方です。
それなのに勝手に絡んで勝手に傷ついて…という、一見矛盾した様相を呈しているため、理解の無い第三者の目には意味不明に映るかもしれません。
しかし、HSPも勿論人それぞれです。
猫アレルギーがあるからといって、全員が全員猫が嫌いということはないと思います。
ただ、意外に多いとはいえ5人に1人という割合からして、総じてその他多くからは面倒だと思われていることを認識する必要はあるでしょう。
気にしやすい
傷つきやすい部分とも共有する事項です。
言い換えれば、感受性から過度に外部の情報を取り込んでしまう点も挙げられるでしょう。
それゆえに、気にしないでいいことまで気にしてしまう傾向があります。
- 無関係な他者に対しての評価や言動が、まるで自分に対してのものであるように感じる…
- 周囲の騒音や臭いが気になって、作業に手がつかなくなる…
- 目の前のことに集中したいのに、離れた場所から聞こえるコソコソ話を拾ってしまう…
- 関係のない人の人生を推察して、暗い気持ちになってしまう…
こういったことはありませんか?
僕は往々にしてあります。そして精神が摩耗してしまう。
個人的に、とりわけしんどいのが「過去のネガティブ体験が記憶に刻まれて消えてくれない」ことです。
はるか昔に言われた心無い言葉等が、いつまでも頭から離れないのです。
それは呪いであり、ふとしたタイミングでフラッシュバックされて、心を蝕んでいきます。
そのくせ、当の鈍感な世界の本人は当たりまえのように忘れていたりする。
これはシロクマの実験(※皮肉過程理論)でもあるように、多くの人に当てはまる内容かもしれません。
ただ、HSPに至っては、その特性から殊更顕著に現れるのではないでしょうか。
※皮肉過程理論(英:Ironic process theory)は、1987年にダニエル・ウェグナー(Daniel Merton Wegner)が提唱した、「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という現象を説明する理論である。皮肉過程理論では人間の思考過程を、実行過程と監視過程に分けて考え、「考えない」という命令を実行するために思考を監視する監視過程を実行するためには「考えること」を覚えて置く必要があるとし、考えないという目的の達成のためには考える必要があるとした理論である。タバコをやめようと考えることでよりタバコのことを考えてしまい、タバコが吸いたくなるなどにも通じる。
出典:Wikipedia
HSPだと、こうした痛みを恐れ、必要以上に注意深くなってしまうかもしれません。
誤解されやすい
HSPは生まれ持った気質であることが研究の結果判明しているそうです。
例えば同じように「人間の幸福感の5割は遺伝で決まる」ことが解っているように、さもありなんといった感じです。
また驚いたのが、HSPは決して人間に限った性質ではなく、他の動物でも発現するというから興味深いですよね。
なので、後天的につくられた性格とは乖離する場合もありそうです。
よく他人から誤解されたり、誤解されやすいと思われたりしませんか?
僕は結構そうで、こういったことにも起因しているのではないかと考えています。
一時期髪を染めていましたし、また大柄なため、人によっては初見では怖いと思われているかもしません。
自分の世界に入るのが好きで、基本的に音楽を聴きながら歩いているため、声をかけられても気付きにくかったりしますし…
その実ネガティブで傷つきやすく、傷つけるのにもストレスを感じます。
外見とは関係ないのに

うわー、この人怒らせるとすぐに殴ったりしてきそう…

調子いいから、きっと細けえこたあ気にしねーよな!
とか思われるのは全くもって憤慨&心外ですよね。
誤解がまた精神的ダメージに繋がったりした日には、目も当てられません。
とはいえ、ある程度知り合った関係ならそういった誤解も解けるので、表面上の印象をいかに払拭するかがポイントですね。
自尊心が低い
ここは正直、僕の場合はそこまで該当しない点かと思います。
ただ、自分でもよくわからない部分です。
「自分なんか…」と思うところもあるし、「自分なら出来る」と思う時もある。
ただ奮い立たせているだけなのか、思い込みなのか、その時の気分なのか…
また、独特の感性が鈍感な人に理解されないがゆえに、自信を無くしてしまうこともあるでしょう。
こうでなくてはならないのに、それが出来ない自分が嫌で疲れてしまう。
みなさんは、どうでしょうか。
思い当たる節がある人も多いのではないでしょうか。
でもこれって、一番どうにか出来る要素なんじゃないかと思うんです。
例えばスキルを高めて、出来なかったことが出来るようになったり、成功体験があればそれが必ず自信に繋がりますし。
結果が伴わなかったとしても、必ず誰かが見ていてくれる。
また自尊心が高すぎるのも問題なので、自身が無さすぎる方は少しだけ自分を大事に出来れば、世界は変わるのかもしれません。
HSPを活かす

HSPはデメリットばかりに目がいきがちです。
でも、僕は最大の武器だと考えています。
その理由は以下です
- 創造性がある
- 感受性豊か
- 共感力が高い
- 慎重になれる
創造性がある
HSPはその内向的な特徴から、一人の時間や一人での作業が得意だったりします。
そして後述の感受性にも関わることですが、発見やインスピレーションを得たり、とりわけクリエイティブな才能を発揮する人が多いとされています。
このあたりに心当たりがある方、結構多いんじゃないでしょうか。
本記事の紹介書籍によると「インスピレーションが沸いて仕方がない」「すぐに絵を描き始めないといけない衝動に駆られる」といった実体験もあるようです。
僕はそこまで素養がある方ではないですが、芸術の分野には興味があります。
曲がりなりにも声優を名乗っていますしね。
芸術や芸能等クリエイティブなジャンルに関わる人って、ちょっと変わり者が多いというか、繊細なイメージがかなりありますよね。
実際に聞いたわけではないので証明は出来ませんが、きっと多くはHSPに当てはまるのではないでしょうか。
HSPじゃないとなれないという事は決してありませんが、必然上記のような印象を持たれているという事実があります。
一部の業界で才能ある人達の多くは、周囲の刺激を受けすぎてしまう特性を、武器に昇華しているのだと思っています。
感受性豊か
傷つきやすく、気にしやすいということは、逆に言えば、楽しいことや嬉しいことも他人より感じやすいということです。
ついマイナスの方向で考えてしまいがちですが、思い返してみてほしいんです。
良いことがあった時でさえ、胸がいっぱいで集中出来なくなったり、落ち着かなくなったりしないでしょうか。
映画をみた時等に感動した余韻がずっと残り、その他のことに衝動をぶつけたくなることも。
人でも物でも、「好き」が他人が基準としているようなものより「ずっと好き」で、こだわる思いが強いことも。
それはきっと、僕らの個性であり、HSPの強みなんです。
諸刃の剣であり、気分の浮き沈みが激しいというのは、非常に疲れることです。
それでも、使い方次第で新たな道や可能性が拓けることもある。
また、考えなくてもいいことを考えてしまったりする人は、頭がいい人が多いそうです。
面倒だと疎まれても、クリエイティブなことに活かせたり、利点・美点があることも忘れないようにしたいです。
共感力が高い
自分の長所は何?と言われて困ることってないでしょうか。
改めて問われると、恥ずかしながら、存外困ってしまうことってあるんですよね。
(上には上がいるし、これだけは負けないと言えるものはあるんだろうか…とか)
僕は、色々考えてきて、このあたりの要素を長所として挙げることにしています。
というのも、デメリットであることは同時にメリットでもある、と考えるからです。
もう一歩突き詰めた言い方をすれば「日常生活で困るレベルのことは、逆に言えば無意識化でも発現してしまう才能」なのではないかな、と。
(身近な例で言えば、幼少時に声が特徴的でからかわれた過去のある人が将来声優になる、みたいなエピソード等)
敏感であるがゆえに、他人の表情や言動等、反応を必要以上に感じ取ってしまうことってありますよね。
それが思い過ごしの場合もあると思いますが「あ、今去り際すごい悲しそうな顔したな…失言したかな…」「声のトーンが低いなあ…きっと嫌われてるな」とか。
ちょっとしたニュアンスや間の取り方、機微から、雰囲気を感じ取って自分の気分にまで影響してしまうんですよね。
僕もそうですが、つい負の感情に圧倒されて、余裕が無くなってしまうことがしばしばあります。
でもそれだけに、この特性を活かして他人が嫌なことや辛い気持ち等も汲み取って、優しくしてあげることも出来るはずです。
嬉しいことも共有してもらったり、そこからまた誰かの幸せに寄与できれば、それはとても素敵なことですよね。
慎重になれる
慎重で危機管理能力が高いのもHSPの特徴の一つだそうです。
こうしたら失敗するかもしれない、これは危ないかもしれない、といったことを予め考えることで、危機を回避する能力に長けているとか。
それもそのはず、人一倍ストレスや不安が大敵なので、なるべく避ける方法を考えますよね。
HSPに限らず嫌な思いはしたくないというのは人の性だとは思います。
ただ、考え無しに飛び込まず慎重になれるということは、本能的には生存確率が上がるということです。
失敗を恐れて行動出来ないというのも問題ですが、恐れは人を強くします。
内向的であるがゆえに状況に応じて慎重になれるということは、自分を大事に出来ているということではないでしょうか。
僕の場合は外交的なタイプに属するようなので、勢いでやってしまいがちなところもあるかもしれませんけど…。
自分を認めよう

まとめです。

・繊細さは武器である
・HSPは病気ではなく特性である
・苦悩は多いが喜びも大きい
いかがでしたでしょうか。
繊細な人は、そのことを負い目に感じたり、損をすることが多いと感じていると思います。
僕もその一人です。

そもそも特性として内向的だから理解したところで解決にならないよ!
こんな意見もあるでしょう。
たしかに、それ自体はどうしようもないことなのかもしれません。
よく言われることですが、鈍感な方が人生楽しく過ごせるかもしれません。
ただ、デメリットは多く苦しくても、メリットにも溢れていることを自己認識することは大切だと思っています。
相殺は出来ないかもしれませんが、詰め込んで押し出してやればいい。
また、周囲の理解があれば息苦しさはやわらぐはずです。
理解が得られない場合は、その環境から逃げてしまいましょう。
それは何もカッコ悪くないですし、負い目に感じる必要だってありません。
自分自身を俯瞰してみて「ああ、自分はこういうことを言われると傷つくんだな」といったことを、冷静に受け入れてみる。
些細なことでも、ダメだと思いこまず、それが自分なんだと認めてあげる。
そうすることで、この鈍感な世界だって、少しだけ明るく見えてくるかもしれませんから。
最後に、紹介書籍にも掲載されているスイスの精神科医・心理学者 ユングの素敵な言葉を引用して終わりにしたいと思います。

敏感すぎることは、しばしば人格を豊かにしてくれます。
(中略)困難で不慣れな事態に陥ったときには、突然の作用により、穏やかな思慮深さが乱され、その長所がしばしば大きな欠点になります。
敏感すぎる人の人格には病的要素が見られるととらえるのは、大きな誤りです。
もしその解釈が正しければ、人類のおよそ4分の1が病に冒されていることになります。
— カール・グスタフ・ユング
この記事を読んでくれた繊細なあなたが、少しでも幸せになってくれることを願って。
Bonne soirée! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。