Bonsoir! 川古です。
趣味が読書の方は結構多いですよね。
読書は色んな教養が身に付きますし、基本的にデメリットが思い当たらない最強の趣味じゃないでしょうか。
(強いていうなら、後天的に視力が落ちる可能性があることでしょうか)
でも本を読むって、嗜むの本の種類にもよりますが、結構労力がいることだと思うんです。
また一言に本といっても色んなジャンルがありますし、どこかで読書を楽しいと思うキッカケが無ければ、習慣づかないものだとも感じています。
なんというか、早い段階で勉強に紐づけられることが多いというか、それゆえ同時に苦手意識がある人も多いのでは。
現代にそれ以外の誘惑や娯楽が多いのも原因の一つかもしれません。
かくいう僕も、非常に恥ずかしいことに読書をする方ではありません…。
(読書を好むのは才能というか向き不向きがある気がする、という言い訳を添えて)
そんな僕でも、我が心の一柱として愛してやまない作品があります。
それが、西尾維新大先生の著作「物語シリーズ」です。
有名な作品ですので、いうまでもなくご存じかと存じますが、今回は本作についてご紹介させていただこうと思います。
物語シリーズはこんな方にオススメです。
- 秀逸な会話劇やミステリーを味わいたい
- 親しみやすい現代もの×バトル要素もある作品を読みたい
- メディアミックスも含めビジュアルや音楽まで楽しみたい
一度触れたら沼にハマること間違いなし!
物語シリーズとは
「化物語」から始まる西尾維新による小説シリーズです。
講談社BOXから刊行されており、(イラストを使用したパッケージングのため誤解されやすいですが)分類としてはライトノベルではなく小説になります。
シリーズ第一作の化物語の2006年初版以降、数々の続編が刊行され「物語シリーズ」と呼ばれるようになりました。
2009年にはTVアニメ化もされ「西尾維新アニメプロジェクト」「西尾維新デジタルプロジェクト」と称して、現在まで様々なメディア展開がされています。
本作は、高校三年生の主人公・阿良々木暦が、怪異(妖怪やお化けのようなもの)にまつわるトラブルに巻き込まれた少女達に出逢い問題を解決していく、といった内容の青春怪異ミステリー。
西尾先生によると、本来は化物語のエピソード内で終わらせる予定だったそうです。
が、爆発的な人気を博し、ご本人も自虐的にコメントされていますが、終わる終わると言いながら一向に終わらない人気シリーズと化しました。
本シリーズはシーズンに分かれており、現在は刊行順に以下のものが存在し、それぞれのシーズンは完結しています。
・ファーストシーズン
「化物語(上・下)」、「傷物語」、「偽物語(上・下)」、「猫物語(黒)」
・セカンドシーズン
「猫物語(白)」、「傾物語」、「花物語」、「囮物語」、「鬼物語」、「恋物語」
・ファイナルシーズン
「憑物語」、「暦物語」、「終物語(上・中・下)」、「続・終物語」
・オフシーズン
「愚物語」、「業物語」、「撫物語」、「結物語」
・モンスターシーズン
「忍物語」、「宵物語」、「余物語」、「扇物語」、「死物語(上・下)」
巻数にして28!全て読破してきていますが、こうしてみると圧巻ですよね。
とはいえ、まだまだ明かされていない秘密もあり、きっとこれからも新たなシーズンが展開されていくことでしょう。
個人的にはずっと終わらせないでほしいです!!
シリーズの魅力
本シリーズの魅力については筆舌に尽くしがたいのですが…簡単に見ていきたいと思います。
言葉遊びの妙
西尾作品の特徴といえば、なんといってもこれでしょう。
活字の表現媒体として、言葉のニュアンスが持つ面白さを弄り回すように引き出しています。
誤解を恐れずに言えば、シェイクスピアの戯曲とかを読んだことがある方は解るかもしれませんが、ダジャレっぽい表現が多いんです。
時代があるので致し方ない部分もあるのですが、これが古風に感じられたり、苦手だったりする方も少なくないかもしれません。
物語シリーズにもこういった表現に通じるものがあるのですが、スタイリッシュと言いますか、不思議とオシャレな感覚で楽しめるんです。
なんというか、くどくないというんでしょうか、口説くないというんでしょうか、あるいは句読ない、とか(←こんな感じ?)
堅苦しくない独特な言い回しで、それが言葉の壁を越えて展開されていたりとか。
また一対一で会話をする構図が非常に多いため、コントみたいな雰囲気があるのも馴染みやすいポイント。
それらが怒涛のラッシュをかけてくるので脇道に反れがちで、逆に言えば、とにかく話の内容だけ先に進めたい人には向かないかもしれません(笑)
さながら西尾先生のネタの宝庫といった様相もあり「よくこんなに既存の言葉から思いつくなあ」と感心してしまいます。
(言葉の妙には僕自身結構影響を受けています)
西尾先生の著作としては「忘却探偵シリーズ」も好んで読んでいますが、物語シリーズは自由度フルパワーで特にこの傾向が強いように感じますね。
そしてもちろん、後述のアニメ映像であっても、この魅力は遺憾なく発揮されています。
人間の内面を描く
本シリーズは、主に現代の日本を舞台にしており「怪異」が巻き起こす様々な問題に立ち向かうといったもの。
ただ断っておきたいのが、決して突如として現れた化物が人間を脅かしてる!助けよう!みたいな、普通の妖怪バトル漫画のようなものではありません。
作中に「怪異にはそれに相応しい理由がある」といったセリフがあるのですが、怪異は急に現れて誰かを困らせるといったものではないんです。
人の持つ悩みや信仰、人間性等に起因して発生する概念だったり、存在だったり。
見えないけれどいつでもそこにあって、そこにはないもの。
都市伝説、街談巷説、道聴塗説。
そしてこの怪異というものが個々の作品のテーマになっていたりします。
単なる娯楽ではなく、人間の内面、心や社会の問題を、怪異を通じて読者に訴えかけてくる…
一冊一冊が人が抱える問題について考えさせられる深イイシリーズなんです。
それから、西尾先生自身がミステリーが好きということもあり、基本的に謎や種明かしが含まれるミステリー形式なのも、のめり込み要素の一つ。
また銀河英雄伝説の作者・田中芳樹先生との対談で、「小説でもこういうのがあってもいいんだ」と参考にしている旨のコメントがあり、サブカルチャー的な魅力があるのも人気の秘密だと思います。
最新作「死物語」では、コロナ禍のご時世をそのまま作中に反映して揶揄・風刺していたり、時代背景を絡めてきているのも面白いですよね。
凸個性なキャラクター
シリーズを支える巨大な一柱として、物語を彩る個性的過ぎる登場人物・キャラクター達の存在があります。
キャラクターのネーミングから既に言葉遊びの要素があり、基本的に聞きなれない特殊な名前が多いのも特徴です。
例えば主人公の「阿良々木暦」も然り、ヒロインの一人「戦場ヶ原ひたぎ」「羽川翼」「八九寺真宵」etc…
いわゆる「田中太郎」みたいな名前はほぼ登場しません(世の中の田中太郎さんごめんなさい!)
彼ら彼女らなくして、持ち味の痛快な会話劇、ひいては物語シリーズは成しえないと言っても過言ではないでしょう。
また、物語シリーズには女性の人物が多く、ありがちな「ギャルゲー」や「ハーレム作品」と勘違いされそうですが、全くそんなことはありません。
というか、西尾先生曰く女性が多いのには理由があり「女性の方が服装のバリエーションが多く、同様に個性を持たせやすい」とのことです。
なので誤解をされて食わず嫌いをされている方は、まずは一度試食してみてほしいですね。
また全ての巻において、パッケージイラストをイラストレーターのVOFAN先生が担当されており、アニメ化の際キャラクターのビジュアルデザインに大きく反映されています。
ちなみにVOFAN先生は台湾のイラストレーターであり、その美麗な色使いや表現から「光の魔術師」と言われています。
西尾先生の著作「忘却探偵シリーズ」でもイラストを担当されているのですが、本当に素敵で…絵から入るのもいいんじゃないかと思うくらいなので、彼のイラストワークも是非見てみてほしいです。
(西尾先生と並んで「サインがほしい人BEST5」にランクインしています)
きっとあなたも魅了されるキャラクターがいるはず!
アニメならではの世界
僕もそうでしたが、アニメに衝撃を受けて西尾ワールドに入られた方は多いのではないでしょうか。
物語シリーズアニメの凄さについては、放送当時の2009年に「化物語 Blu-ray Disc 第二巻」が初動で3万9000枚の売り上げを記録し、テレビアニメ歴代1位になったことからも伝わります。
化物語は独特の表現や叙述トリック等からアニメ化不可能と言われていましたが、アニメーション制作会社のSHAFT×新房監督が創り出す革新的な演出で、それを可能としました。
抽象的で引き込まれる空気感や色使い、コラージュを用いた斬新な映像表現や独特のカメラ回し等。
他と一線を画するその世界観に、初めて観た多くの方は衝撃を受けたに違いありません。
また原作のあるアニメ作品というのは、こういってはあれですが、大抵どちらかが劣っていると感じるケースが多いのですが、物語シリーズに関しては「どちらも甲乙つけがたい」といった印象です。
それぞれにしかない魅力があるというのは勿論ですが、着目するべき点としては「原作とアニメが相互的に影響を受けて新しい作品が生まれる」流れが出来ていることです。
アニメ化することで新しいビジュアルやイメージが生まれ、それを見た原作の西尾先生が新たな着想を得て、どんどん物語が進化し、深化していく…。
双方が刺激し合ういたちごっこにより、お互いを高めて魅力的な作品群が連なっていくという、正のスパイラル。
メディア展開によってこれだけ広がりを見せる作品って、他にはないと思うんです。
素晴らしいですよね。
更に、最近の映像作品には、製作者やキャストの音声によるコメンタリーというものがつきものだと思います。
このコメンタリー台本、驚くべきことに長尺にも関わらず全て原作の西尾維新先生が描き下ろしており、コメントをする人もただ喋るのではなく、登場キャラクターとして会話するという粋な演出になっているんです。
これ自体が一つの作品であり、低迷している映像パッケージの売り上げに絶大な貢献をし、ファンにとっても無二の価値を生み出しているといえるでしょう。
そして、アニメならではの要素ですが、音楽も一つのブームを生んでいます。
作曲家の神前暁さんやmeg rockさんが生み出す、ミニマル的な劇伴や、様々なコンセプトを感じる主題歌の数々。
主題歌はそれぞれのタイトルのメインヒロイン(の声優)が歌唱しており、所謂キャラクターソングにもなっているのですが、都度音楽の方向性が異なるのも面白いです。
これらの音楽は発表当初、概ねBlu-ray等の映像パッケージに特典として付属する限定コンテンツだったりするのですが…
後々発売された音楽CDはオリコン等の売り上げランキングで過去に首位をとっていたりするので、なんとも歯がゆいマーケティングですね(笑)
まずこの主題歌を毎回楽しみにしている方は非常に多いんじゃないでしょうか。
とにもかくにも、物語シリーズは活字で読む&聴く楽しさと映像で見る面白さが競り合っているのが他にはない魅力だと感じています。
歌を含めキャラクターに声を吹き込む声優陣の功績も大きいですよね!
そして私見ですが、収録めちゃくちゃ大変だろうなと思います…
これまでとこれから
物語シリーズの歴史も気付けば十年以上になりましたが、現在も数多くの方に愛されています。
もちろん僕も例外ではなく、今なお発売が待ち遠しい作品です。
これまでにはご紹介した内容以外にも、スマホアプリやドラマCD、様々なイベント展開やコラボ等、多方面での広がりをみせています。
なお、本記事掲載時点では、「エア・ギア」等で有名な漫画家・大暮維人(オオグレイト)先生による漫画版「化物語」が週刊少年マガジンにて連載&刊行中です。
こちらは原作のセリフや展開を踏襲しつつ、独自の解釈も取り入れられており、また違った楽しみがありますね。
原作は最新シリーズであるモンスターシーズンの締めくくりとして「死物語」で一旦完結しています。
またアニメは劇場放映された「続・終物語」を最後に新作は今のところ放送されていません。
ですが…また新たなシリーズがきっと始まるはずですので、それまで首を長くして続編を心待ちにしたいと思います!
それからAmazonのオーディオブック「Audible(オーディブル)」では、シリーズを音声として楽しむことも出来ますので、是非こちらもチェックしてみてはいかがでしょうか!
ぱないの!
Bonne soirée! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。