【レポート】メタファーリーディングライブステージ【聞・感・考!】

ゲーム

Bonsoir! 川古です。

前回のメタファーオーケストラコンサートから早四か月…以下該当記事でも触れておりましたが、先日、メタファー初の新感覚朗読劇メタファー:リファンタジオ リーディングライブステージを鑑賞して参りました!

Metaphor: ReFantazio メタファー:リファンタジオ リーディングライブステージ 公式サイト
メタファー:リファンタジオ リーディングライブステージ 2025年11月15日(土)、16日(日) KAAT神奈川芸術劇場にて開催。

(オケコンについての記事は以下)

有難いことに今回も無事当選、更に朗読劇とあっちゃあ個人的にも勉強になるということで、多方面から勉学ならぬ勉楽させていただきました。

実はこれまで朗読劇自体は観劇したことがあまりなかったのですが、単なる朗読劇の枠を超えた新感覚のエンタメに仕上がっていましたので、自分なりの解釈を交えて、ちゃちゃっと所感を書いていきたいと思います。

これぞATLUSの粋を結集した柔と剛、斬新極まる本作だからこそ実現した夢のステージである!

日本ゲーム大賞2025 大賞おめでとうございます!

©SEGA.©ATLUS.

出演情報をご覧になっていただくとお解りのとおり、本公演は通常の朗読キャストとは別に、生演奏、舞踊、映像をミックスした新しいエンターテインメント劇となっており、メタファーの世界観を多角的に感じることが出来る挑戦的なプログラム。
基盤となるのは所謂ゲーム作品のボイスドラマなのですが、作品世界を伝達し彩る表現技法を組み合わせることで、斬新且つリッチに仕上がっていました。
イヤホンで言ったら、ダイナミックドライバが1機、バランスドアーマチュアが3機みたいな感じですかね?(伝わるんかい)

会場となったKAAT 神奈川芸術劇場は恥ずかしながら寡聞にして知らず、初めて赴く劇場で僕の場合は都内から片道一時間程、駅近で交通的にも良好でしたね。
利用した東横線の経路は、確か以前ペルライのPLT2024でも通過しており、記憶には新しいです。

会場や建物周辺のギャラリーには、本公演の他、多様な公演情報が溢れていました。
ホール入り口はエスカレーターを昇った先5Fにて、ストレス無く入場出来ました。

特典の複製キャスト台本と事前購入グッズを受け取り、いざ場内へ。

僕は初日の2ndにて鑑賞
席も前列ブロックで僥倖!

会場内とアナウンス

ホールは奥行のある縦長の構造。座席の赤と黒のコントラストがシック、これは作り手と握手したくなりますね(個人的嗜好の二大カラー!)
場内ではお馴染みの「英雄たちに捧ぐ詩」がエンドレスリピートで流されており、舞台上のスクリーンにはアカデメイアとアーキタイプ像が鎮座(座?)し、焚かれたスモークが雰囲気作りに一役買っていました。
構造的には7月のオケコンがアカデメイアさながらで興奮したので、ここでもファンサービス!?と嬉しくなります。

僕、劇場のスモーク臭好きなんですけど…
これ、わかってもらえます?

開演前に男性の声で場内放送があったため、ここで「ああ、ペルライとかのキャラアナウンスは無しかぁ…」と思ったので・す・が!
そこは直前で期待に応えてくれました、今回の案内役はみんなのガリカ(諸星すみれさん)、観劇に当たっての諸注意についてマスコットらしい愛らしさでリード。
「すまーとふぉん?」なんて、世界観にも合わせて文明の利器へのクエスチョンもあって、まずは牽制として楽しませてくれましたね!(いつかATLUSクロスオーバーでモルガナやクマとの掛け合いも聞いてみたい)それにしても、場内ルールが「命よりも大事な特命」って…(笑)
本番前なので、これは流石に事前収録したものを流してるとは思うんですけど…どうなんでしょう?

声優の気持ち(小並感)

まず色々観察してしまいますよね、舞台装置って。

何処にどんな物が置いてあるのか、角度によってどう見え方が変わるのか、配信(有りの場合)ではどう映るのか、上手と下手の導線、はけ口はどこになるのか、足元のバミリ(「ここに立つ」等の役者の指標となるテープ類のこと)はどんな状態なのかetc…

事前情報からも解るとおり、メタファーリーディングライブは新感覚のエンタメということで、いくつかの表現が組み合わさった魅せ方をしているため、ステージの使い方も特殊だと思ったんです。
皆さんきっとまず目についたのは、会場の紗幕。
加えて舞台最奥にあるスクリーン投影も用いた二重構造で、最下部を見れば一応「あ、幕が降りてるのか」とわかるのですが、ファーストインプレッションとして、中空にうっすら浮かび上がる絵から不思議な感覚に囚われましたね…。

また、舞台手前と奥で席(うっすら見える)が用意されており、手前の下手側にはキーボードがあって且つ席が4つ(朗読キャストは5名)なので「手前は演奏キャスト、奥は朗読キャスト」が使用するのかと察するわけですが、どうしても媒体の関係で先入観から”ボイスキャストが前に来る”イメージもあったので、限られた空間で面白い使い分けだと思いました。

こうした舞台設計は、きっと企画の段階で試行錯誤され、苦心した結果生まれた完成形のはずで、主役=演者になるのは勿論ですが、それらを支える要素として作られた方々の創意工夫と思いの結晶についても想いを馳せることで、きっと色んな人が幸せになれるはず!

多くの人の想いが作品を作る
パワー!ヤーー!!

上演内容

気になる本編のストーリーですが、ゲームスタートから王都グラン・トラドより王権競技会の旅へ出立するまでが描かれており、所謂アバンに該当する箇所。それゆえのキャスト構成ですね。
タイトル発売前に配信されていたプロローグデモ(体験版)プラスαくらいの範囲で、そのため既存のプレイヤーは勿論、これからメタファーをプレイする方でも楽しめる内容となっていました。
更に単なるボイスドラマではないことは先述のとおりですが、ゲーム本編では描かれていなかった幕間の追加エピソードもあり、ファン垂涎の内容もポイント。

場内BGMが次第に大きくなり、余韻を残したエコーを伴いフェードアウト(舞台特有のこの変遷も耳に心地よい)、演奏キャストも舞台上に着席しスタンバイ。
冒頭はゲームと同じくモア(子安武人さん)のナレーション音声から開始。探求者である我々を改めてユークロニアの作品世界へ導いてくれます。
紗幕には幻想小説の理想郷を描いたシーンが映し出され、まるでゲームをプレイしているような感覚に襲われました。

そして本編同様の壮大な音楽が映像を伴って生演奏のアンサンブルで表現…
紗幕の奥では主人公ウィル(花江夏樹さん)のモノローグナレーションで世界観の解説、各出演者、ガリカ(諸星すみれさん)、ストロール(小野賢章さん)、ヒュルケンベルグ(早見沙織さん)、グライアス(稲田徹さん)が作品の時系列に合わせたオリジナルの台詞でキャラクター紹介を兼ねた言葉で紡いでいき、壮大な物語を予感させます。
ガリカが寄り添って喋るところなんかは、紗幕にキラキラとエフェクトが映し出される演出で面白かったです。

早速オリジナル要素キターーー!
喋り出しは一番盛り上げるところでもあります

基本の流れは原作を踏襲しつつ、細かい点は省略(これは構成上致し方ないですが…)されて進行。
回想では幼少の王子と主人公が理想の国について語り合い(幼少かつ二役の演じ分けが凄い)、王都に到着して募兵舎でストロールと出逢うシーンが描かれます。
繰り返しになりますが、ゲームのカットインや映像が要所で投影されるため、改めてゲームを追体験しているような感覚になりますね。
また募兵舎での設問で主人公が答える「小さいのですばしっこいです」等、作中の一部の選択肢で自分がプレイの際に選んだものと被っててフフってなったりもしました(笑)
他ATLUS作品と比べたらかなり饒舌な方ですが、元々メタファー主人公は口数が少ないため、多くの台詞を聴けるのも本公演の醍醐味でもあり新鮮ですよね!

ヒュルケンベルグの回想では、過去に近衛として王子やアルセス(グライアス)と交わした会話も描かれており、とても微笑ましかったですし、補間として本当に聴けてよかったという同志の意見も多いのではないでしょうか。一人の友として、守れなかった悔恨を思うと胸が痛くなります…。

声優の気持ち(小並感)

冒頭から世界観にスッと入り込める空気作りを垣間見て。

インタビューにて稲田さん曰く、ゲームのボイス収録自体は二年前だったそうですが、収録からリリースまでにかなり時間が経過しているケースは業界的にままあることだと思います(何ならもっと前ということも)
その中で作品展開として、久々に担当したキャラを演じたのが本公演。
加えて、収録は単独なのに対して、本公演では初めて台詞の掛け合いとなったわけです。

メタファーにご出演されている皆様は、人気かつ最前線での活躍目覚ましい方々なのは言うまでもないでしょう。
それはつまり、演じる役柄が多いということ。
演じる役柄が多いということは、レパートリーというメモリへの負荷が大きいということ。
時間的な問題は別にしても、常に演じた役柄を意識していられるわけでもなく、必然、キャラクターを忘れてしまうこともあると思います。
そうした環境で、キャラを掘り起こして再度コンテンツを作り上げることの難しさについて、演じ手として感じるところがあります。

プレイヤーや視聴者の観点・都合としては「~役の〇〇さん」というキャラへの思い入れや意識が強いが故、いつでも表裏一体で、やってみせてと言われれば当たり前に出来てしまう印象は否めないと思います(声優だってニンゲン、もとい人間です)

ただそうした尊い幻想の中には、メタファーの作品テーマでもある不安に打ち克ち、現実のものとしてくれる役者の意思と力が在ること。それを再確認するとともに、素晴らしいキャストの皆様に敬意を表したいですね!

初めてのダンジョン、北部国境の砦では兵士長クリンゲル(相馬康一さん)の台詞がありますが、こちらもモア等と同じく朗読キャストとは別の音声キャストで、この後登場するルイ(中村悠一さん)、謎の声(日髙のり子さん)、国王の顔石(銀河万丈さん)も同様になります。

名だたる大御所も多いですから、
次回
出演期待ですね!

ここで世界に未曾有の危機を齎しているニンゲンを始めて相手取ることになりますが、「なるほど、こうきたか!」という感じで、エンカウントやスキルエフェクトの投影、SEと台詞が錯綜し、ここでも実際のプレイを想起させるバトル演出が組み込まれていました。
ニンゲン(ホモゴルレオ)自体はシルエットとなっており、ゲーム映像というわけではないのですが、豪華なTRPGをやっている感覚というのでしょうか、原作に即したシーンのBGMも添えられて、特有の高揚感がありましたね。

そして本公演もう一つの見所でもある舞踊・ダンスの魅力も発揮。バトルではニンゲンのおぞましさが体現されており、過去王子が襲撃にあうシーン回想でも感情の機微や情景を音声とは別角度、視覚的なアプローチとして観客に迫っていました。

期待していた人は絶対多いはず、目玉と言っても過言ではない魅せ場、アーキタイプ覚醒のシーンが訪れます。
謎の声の導きと客席側へ煌々とした白い照明が当てられスモークと混じりあうことで某シーンが再現され、多くの人はまるで自身が呼びかけられているかのように錯覚したのではないでしょうか。
己の英雄像の体現、心臓をぶち抜き覚醒(拡声)器として魂の叫びをあげる!

「うぉぉぉぉぉぉ!変われ!!」

生の覚醒シーン!激熱!!

何度も言いますが、ATLUS発信の覚醒アイディアは秀逸ですよね…ペルソナ3の召喚器で頭ハジく(言い方)のも大分ぶっとんでますけれど。
因みに宣言の時は、舞台奥高台の位置にある専用のマイクに移動し、原作よろしく選挙の演説感を演出していました。
紗幕には個々の持つアーキタイプの紋様が浮かび上がり、伴奏される「英雄の目覚め」
ヴァイオリン、チェロ、サックスにピアノのカルテットによる、原曲の持つヒロイックさとはまた異なった清澄さを含む響きは、より舞台の台詞に寄り添ったメロディーとして昇華されます。

ここも原作に合わせたボスBGM「其の名はニンゲン」が演奏されていましたが、覚醒からラッシュによるトドメに至っては「猛きものたちよ」へ変遷し、特に後半のバトルにおいても同じ演出が採用されるフィーチャー具合だったので「わかってるなぁ!」と得心しましたね。
「一気に攻める!」とか、「サイク!」といった戦闘の掛け声はゲームと同じ、全くそのままで(それはそう)、ゾクゾクしましたし、音と台詞が入り乱れる様は鳥肌もの。

音楽に関しては劇伴として、全体で20曲弱もの多彩な演奏が披露されましたが、オーケストラコンサートとは違う四重奏ならではの味わいがあることは勿論、件の公演セットリストに無かった曲もあったので、改めて音楽世界を楽しむことが出来たのも非常に嬉しかったです。
“この世に初めて生まれた魔法は、音楽”

愁嘆」とか特に良かった!
思わず目頭が……

砦での戦いを終えた後はグライアスと合流、野営のシーンではガリカとの二人だけの会話劇も描かれ、ヒュルケンベルグの過去同様、本公演だけの繊細で稀少なシーンも。

その後、ストロールを仲間に加えた一行は廃鉱山を経由して王都へ。
兵士長クリンゲルの卑劣な策略と焼かれた故郷への想いから、貴き者の怒りが有頂天に達した時、ここでも作中の大きな見所、ストロールの覚醒シーンが観客を圧倒する!

我が名は、レオン・ストロール・ダ・ハリエイタス!民も領地も、家族すらも今は無い。残ったものは唯一つ!この身に流れる貴族の血!貴様ら悪を討ち滅ぼす、貴き者の使命だけだ!

これ、メタファーの世界観を表すローンチとして早期に開発で確定した台詞だと思っているんですが、仲間の中でも随一、本当無駄が無くて格好いい口上ですよね…「来い!正義を叩きこんでやる!」までワンセットで。流石人気投票一位だけあるぜ!ファイター!!(調子に乗るな、ストロール!)
メンバーが増えて戦闘はより苛烈に、なんとかクリンゲルを打倒。
ストロールを正式な仲間として加え、無事王都へ到着するのであった…完(ではない)

声優の気持ち(小並感)

ストロールの口上なんですが、ゲームよりも幾分スローペースに感じた人も多いかもしれません。これには概ね三つの意図があると思っていて、

①じっくりと聞かせるため
②演奏と合わせる等の演出の都合
③絶対噛まずに決め打ちするため

①②は舞台ならではの良さが含まれますが、少し厳しい観点から申し上げるならば、③が割合重要な気がしています。
これは役者の個がどうという話ではなく、先述のとおり声優も万能ではなく、調子の悪い時もあれば、練習し気を付けても台詞を噛んでしまうことはあります。
(同業相手に「自分は滑舌がいいので」なんて本気で言える人も中々いないと思います)
メタファーが好きであれば伝わるはずですが、特に覚醒の決め口上はいわば本公演において唯一と言っていいほど「絶対にトチれない台詞」ではないでしょうか。
単に感情が昂った状態での台詞であれば、多少噛んでも逆にリアリティが出て味になる可能性もありますが、声の仕事というのはその塩梅が難しく、また口上に限ってはしっかりキメなければなりません。
正直、演じる側としても最高に気持ちいいだろうなとも思いますが、ミスを想像すると考えるだに恐ろしいです…。

収録であれば一応録りなおしが出来ますし、現在は編集技術で台詞を詰めたり調整も出来ますが、芝居は生ものです。
やり直した場合は周りに迷惑もかけますし、ほぼ同じように聞こえても、全く同じ音は二度と出てきません。二度と使ってくれないかもしれませんしね!(これはリアルに怖い業界話)
とはいえ当該の覚醒口上は勢いやスピード感も相まって魅力的に聞こえる見方もありますし、早さが変われば感じ取れるニュアンスも違ってくるので、中々難しいところです…。

それでもプレッシャーの中、しっかりと演じて見せた皆さんは流石一流の仕事人ですね!
あ、あと紗幕ですが多少覆面効果があって、演じやすそうな印象は受けました。

朗読中に自分の顔をまじまじ見てほしい!
という人はあまりいないと思うので…

本作の拠点の一つでもある蜜蜂のささやき亭では、女将ファビアンヌさんの振る舞う手料理を頬張るシーンも。
また本編には無かったヒュルケンベルグとの相席シーンがあり、ついに生「うまし!」を拝聴、会場には思わず笑いが零れていました。
個人的に主人公が締めで「そっとしておこう…」というのも、ペルソナ4の番長を意識していて面白かったですね(一応原作でも台所で同じ独白が使われていましたが)

マリアが音声出演も無かったのはちょっと残念…
次回はエアマリアではなく、生マリアで!

翌日、逝去した国王ユトロダイウス5世の国葬に乗じた暗殺計画が実施される日。
出立した一行が向かったのは王都の中央に聳え立つ巨大建造物、国教である惺教の象徴となるレガリス大聖堂。

ルイの側近ゾルバが出てこなかったり、ダンジョン攻略等諸々カットされた部分が多い一幕ではありますが、宿敵ルイの鎧戦車カラドリウスが飛来するところから、王の魔法発動とグライアスの死、ヒュルケンベルグとの邂逅~覚醒、ニンゲン・ホモアヴァデスとの決戦まで、スピーディ且つ臨場感をもって描かれます。

グライアスの覚悟を秘めたモノローグと吶喊も必見ですね。
すんでのところで王の魔法によって暗殺を阻止される様は何度も見ても口惜しい…紗幕に映える橙の鎖エフェクトはかっこよかったですが(笑)

ヒュルケンベルグの覚醒シーンも必見。
他の二名と同様、固有の紋様が紗幕に描かれ、冒頭から繋がれてきた王子を守れなかった後悔と無念、同志への思いが激情として発露する時、騎士の美徳が顕現する。

「我が名は、アイゼリン・バルチェッリ・マイアル・ヒュルケンベルグ!王子殿下直属の近衛部隊、最後の長である!いま再び、主君のための力とならん!」

かぁ~~、これも熱い、熱すぎますね!ボット!ボットラー!ボアットナ!
ファイア!ファイラ!ファイガ!(これは違うやーつ)
鳥肌不可避、またこの流れでバトルに突入する演出も粋なんですよね…天才か!

死人となったグライアスとの死闘は痛ましいのですが、メタ的な見方をすれば、このピンチがあったからこそ覚醒と同行の引き金になっているかと思うと、胸中複雑ですよね…。

グライアスとも旅が出来る世界線はあるのだろうか…

そしてルイが運んできたホモアヴァデスとのボス戦が開始。
苦戦するも、力に目覚めた三名+ガリカとの華麗な連携により撃破!
やはり猛きものたちよへのBGMの繋げ方が爽快ですね!

激動の国葬から明けて、失ったものは大きいが、王選協議会への参加を決意する主人公。
王子を呪いから救い即位させる特命と、グライアスとの約束を果たすため。
そして王子の意思を受け継ぎ、どんな生まれの人でも、自分の未来は信じていられる国にするために。
新たな想いを胸に、一行は王都グラン・トラドを後にするのだった…

つづく!

鎧戦車で次の町へ向かう道中において、余韻を残す主人公のモノローグで本公演は閉幕を迎えますが(次はマルティラ。ハイザメの名前も出てきましたね!アッサッッシンッ!!)、紗幕を用いたエンドロールからキャスト挨拶の際に、エンディングテーマとして「旅の脚」が演奏されていたのが個人的に滅茶苦茶良かったです!
これまた独自アレンジの躍動感と、旅の続きと次を予感させる力強さが良い味出してるんですよね。

ということで、上演時間は約1時間半程でしょうか?
映画一本分くらいのオーソドックスな尺ではありますが、長さを感じさせない密度であっという間の幕引きとなりました!
因みに貴重な特典のキャスト台本は80ページ程でしたが、印字が思いのほか小さく、厚みよりも濃い内容であることがうかがえ驚きましたね。

声優の気持ち(小並感)

本公演においてキャストのお召し物も見所の一つ。
朗読劇主体とはいえ、役としてそこに立つことは通常の舞台となんら変わりはなく、服装が自由というわけにもいかないのが興行の定め。
各々が世界観に合わせたコンセプトでデザイン性溢れる素敵な衣装となっておりました!
また各所で何度も言われていることと思いますが、元々裏方といえ、世間のニーズから今や声優も俳優・女優・タレントと並び小綺麗さや清潔感が重要ですからね。
ここは流石、メディアでよく拝見する方々だけに皆様大変煌びやかでした。

声優に見た目は大事です
声優に見た目は大事です(二度目)

花江さんは主人公に合わせて整った白とボーダーのジャケット、諸星さんはドレッシーで華やかなワンピース、小野さんはストロールらしく落ち着いた装いのナポレオンコート、早見さんは黒を基調としたスタイリッシュなスカートスタイル、稲田さんはインパクト溢れる重さと渋さを纏ったロングコートと、各キャラクターと個々のイメージを両立させた出来栄え。

特に早見さんの衣装は黒ベースで右肩にアシメ(多分)で設計された甲冑のようなパット装飾が、中二病である自分的には心躍りましたね!
また小道具の扱いかもしれませんが、花江さんのキャスト台本は役に合わせて幻想小説の外装になっていたことを後で知り、こだわりの負荷さに嬉しくなりましたね。

というか、公式サイトの紹介で使われているキャスト宣材写真が、偶然だとは思うのですがキャラクターを彷彿とさせる髪型や衣装なのですが…気のせいですかね。
皆さんはどう思いますか?

アフタートーク

実はこの後、しばし小休止の後、稲田さん司会による朗読キャストアフタートークへ突入。
この辺りゲームのイベントという感じしますね!
またキャストにある種スター性が無いと成しえないコンテンツでもあると思います。

アフタートークでは紗幕に映し出された野営の焚火を背景に、テーマに関連した小話が展開されました(抜けや前後ありますが大体以下のような感じで雑記)

稲田さん「少しだけ話します」
花江さん「他の人が喋れないくらいしゃべります」(一同笑い)

トークテーマは作品に絡めて”旅”の楽しみ方について
早見さん「食を楽しみます!うまし!」
生うましで盛り上がる会場、これは王道な楽しみ方ですよね!
花江さん「僕はコンビニいっちゃうかな」
一同驚きと反対の声があがるが、早見さんが「え?え?」としどろもどろ
何故か押され気味で後押しする稲田さん(笑)
諸星さん「私は今回も現場へ前乗りして、現地で一人酒楽しんでました。お店の人と話したり」
と呑兵衛でアグレッシブな一面を披露
稲田さん「そうだよね。コミュニケーション楽しんだり。コンビニなんて大体テンプレだろうに」
と花江さんへツッコミ(笑)
続いて”お気に入りのシーン”の話題
…と、尺の関係か何故か飛ばされた小野さん(笑)
気にしていたのかテーマを無視して当たりさわりのないことを言い淀む小野さんに対して、
花江さん「無いなら言うな?」
とすかさず、普段から仲の良さを感じさせる漫才のようなコンビネーション(?)
小野さん「覚醒のシーンは気持ちよかった。てかヒュルケンベルグすごいですよね、よく噛まないですね」
と、早見さんへ口上の名乗りについて関心し一同納得
小野さんが代わりに実演するも、マイアル辺りで噛んで会場は笑いに包まれ、花江さんの方はうまくかわします(笑)
早見さん「ヒュルケンベルグのネタっぽいところ、酒場でご飯食べてた時からの「どこかで面識が?」のくだりとか(オリジナルシーン)急にネタが入る落差面白いですね」
と、ヒュルケンベルグに対しては皆さん結構注目を集めていた様子
諸星さん&稲田さん「ガリカとグライアスだけになった時の大人な会話が好き」
公演オリジナルのシーンはやはり思い入れもありそうですね
花江さん「僕は、グライアスの最後の渾身の断末魔すごいなぁと」
稲田さん「そんなんばっかやってきましたからね。このシーンがまさに真骨頂。鬼滅でもそんなのばっかでね!本当はかっこいいのやりたかった!」
なんて別の現場の話に触れ、会場を爆笑の渦に巻き込んだり

と、狼の遠吠えSEが入り、名残惜しくもトークの終わりの合図。

全4ステージあるのも大変
回によって内容違ったりしたのでしょうか?

最後にキャストサイン入り台本の抽選会(会場から一名なので凄い確率!当たった方おめでとうございます!ファイター!ヤーッ!!)と、個々の挨拶で本公演の締めに入ります。
あとイベント販売グッズの宣伝をされてましたが、パンフレット等いくつかの商品は売り切れていたそうで…自分は事前購入していたので助かりました…。
個人的なオススメは幻想小説のストレージボックスなのですが、何を入れるか問われた諸星さんは「するめとか…」なんてここでも酒飲みアピール(笑)ガリカのイメージよ。

噛めば噛む程味が出るという、本作へのメタファーだったのかも!?

改めて盛大な拍手に包まれてキャストが退場し、本公演の初日が幕を下ろしました。
本当に短い時間ではありましたが、楽しい時間を共有させていただきありがとうございました!

声優の気持ち(小並感)

イベント事のパンフレットは、恒例グッズの一つですよね。
メタファーのイベントパンフレットはどれも内容に無駄が無く、作品理解にも通じるように構築されていてファン必携なんですが、今回も学びを得て考えさせられました。
とりわけ開発者インタビューは充実しており、個人的な注目点。

人は元来の移住する形式から小麦を得たことで、蓄財&滞在する生活様式へシフトした…そしてこれが不安を齎したという歴史的観点をメタファーのテーマに結び付けていること。
英雄像=旅人のイメージ(ペルソナのユング心理学的に言えば集合的無意識)があること。
多くのRPGというジャンルにおける旅はフィールドを横移動するが、ATLUSのペルソナを代表とするスケジュールシステムで縦移動を取り入れたことで、双方からアプローチした結果膨大な質量を持った作品になったという話は、特に目を惹きました。

あとこれは…なんといいますか…キャストインタビューにおけるモア役の子安さんの内容がその…よろしかったんでしょうか(笑)
拝読した方はご存知かと思いますが、茶目っ気のある内容自体は個性的なのですが、これは運営OK出したのか…というネタバレコメント(&サイン)に薄いモザイクがかかってまして。
というか普通に読めちゃってまして(笑)
かなりリスキーな内容なので未クリアの方には色々まずかったかもしれませんね!?(ご来場の皆さんはクリア済という認識なのだと思いますが…)
いやしかし、僕が寡聞にして知らないだけかもしれませんが、パンフレットの印字にモザイクをかけているのは後にも先にも歴史上これが唯一かもしれません(苦笑)

ギャグだったかもしれねェ…

といった感じで、兎にも角にも楽しく、何より嬉しいイベントの開催となりました。
幸いにも毎度当選というご縁を頂いてまして、まことに感謝です(お次はペルソナ5ビッグバンドコンサート!)

アバンのエピソードを扱うことで、どうしても離脱の関係で見せ場の少なかったグライアスの掛け合いも見れましたし、ヒュルケンベルグも合流が最後になるため、回想を多めに取り入れることで見せ場のバランスを上手く取っていたように感じます。
次への繋げ方もワクワクしましたし、また初めからプレイしたくなった方も多いんではないでしょうか(続編、完全版お待ちしております)。

しかし2025年は展覧会にオーケストラコンサート、続いて朗読劇と発売からわずか一年にして怒涛の企画展開、活躍目覚ましいですね
大好きな作品に溢れ、届け続けてくれることにただ感謝です。

稲田さんもインタビュー等で触れていましたが、ゲーム作品は収録したらそれっきりなケースが多く、こうしたイベント化や新しいコンテンツとして披露されることは、正しくファンの応援や皆さんの力添えあってこそ。
メタファーの候補者が掲げるスローガンように、希望する声があるから伝播し、幻想は続いていくんだと思います。
なんであれ情熱を持ち続けることが、本作が提示する「幻想を絵空事で終わらせずに現実のものとする」ということなのではないでしょうか。

…と、気取ってみたところで!
誰かに伝わって、僕も仕事やご縁に繋がればいいんですけどねーーー(何卒何卒!)

某日都内某所にて、「幻想は生き続ける」を聴きながら。

Bonne soirée! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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