Bonsoir! 川古です。
皆さんはインディーゲームってプレイしますか?
僕は割とAAAタイトルだったり好きな範囲で追求してしまうタイプで、あまり触れてこなかったのですが「Clair Obscur: Expedition 33」(以下エクスペディション33)は、その中でもプレイした数少ないインディー作品です。
数々の受賞歴がある上にメタスコアでのレビューは非常に高評価…インディーとは思えないリッチなタイトルですが、先日、英国映画テレビ芸術アカデミーのゲームアワード「BAFTA Games Awards 2026」にて、ベストゲーム・デビューゲーム・主演パフォーマーを含む3部門を制し最多受賞になったとのことで、おめでとうございます!
今回は印象派かつ印象的だった当作品について、特に気になっているけれど購入を迷っている方に向けて、物語のネタバレ無しでレビューをしてみたいと思います。
結論から言うと、エクスペディション33をオススメ出来るのはこんな人です。
・普通のターン制コマンドバトルに飽きた方
・JRPGが好きで洋ゲーに抵抗の無い方
・バトルは難しい方が燃える方
・美麗で秀逸なシナリオと世界観に触れたい方

インディーゲームとは思えないクオリティ!
Clair Obscur: Expedition 33とは?

サンドフォール・インタラクティブ(Sandfall Interactive)が開発を手掛けるインディーRPGです。
こちらは同じくフランスに拠点を置くUbisoft等から出身のメンバーを中心に結成された少数精鋭の開発チームで、フランスのベル・エポック(19世紀末~第一次世界大戦勃発までのパリを中心に繁栄した時代)をモチーフとした独創的な世界観が描かれていることが大きな特徴。

母国インスパイアと言いますか、日本のメーカーが日本を舞台にしたゲームを作るのと同じような感覚でしょうか
ペルソナとかも近いものがありますね(こちらはローファンタジー寄りですが)
またUbisoft出身の開発者がFFシリーズへの強いリスペクトから生み出したと聞き及んでいますが、JRPGの様々な作品の片鱗を感じさせるため、洋ゲーとはいえ日本人にもしっくりくる作りになっているかと思います。(スクエニと縁あるUbi…さもありなんですね)
物語はルミエールという崩壊した世界が舞台。
毎年「ペイントレス」という異形(体育座りをした巨大な女性)がモノリスに描いた数字=年齢の人間が抹消されてしまう設定で、その数字は年々一つずつ下がってきます。
本作における33が描かれたタイミングで、余命一年となった「第33遠征隊」一行が人類を救うため、海の向こうにいるペイントレス討伐の旅へ出立する…というようなお話。

この時点でもうワクワクしてきませんか?
要するに、Expedition 33=33番目に派遣される遠征隊、Clair Obscur=明暗(もしくは光と闇)という意味なんですね。
安直ですが和訳すると「第33遠征隊 ~光と闇の物語~」みたいな感じでしょうか。
因みにタイトルが長いため、呼称は?どう略したらいいの?と思いがちですが、どちらかと言うと後者が副題という感じなので個人的には「エクスペディション33(サーティスリー)」がいい気がします。
(当初クレールオブスキュールでよくね?と思っていたのですが、プレイしてみると上記がしっくりくるんですよね!)
良いところ
プレイしてみて感じた本作の良いところ、悪いところについてそれぞれ触れます。
バトルが楽しい

まず開口一番に取り上げるべきはこちらかと思います。
最近はアクション方面寄りのタイトルも増え、RPGの概念が崩されつつあるとも言えますが、ドラゴンクエストを始めとしたこれまで歴史を築いてきた日本の名作・金字塔的タイトルはターン制のバトルが主流でした。
反面、昨今これらはタイムパフォーマンスが悪かったり退屈だと感じさせる要素の一つにもなりがち(オートや倍速モードも実装されていたりしますが)で、飽きてしまった方も少なくないと思います。

とはいえ王道だからこその主流!
最近は原点回帰してほしい気持ちが大きいですけどね
本作はメジャーなRPGのターン制を基軸としつつ、守りにおいては回避やパリィ(受け流し)、エイム(射撃)といった能動的なシステムを取り入れたアクションとの融和が図られており、特有の緊張感と爽快感を齎してくれます。
裏を返せば防御という手段が無く、敵の攻撃は全て「かわす」か「受け流す」必要があるため、直にダメージを負うとすぐさま壊滅的な状況に陥ります。
生死を懸けた戦いとは本来こうあるべきとも言えますし、とにかく一戦の密度が濃い。
僕も最初はハードモードでプレイしていましたが初見殺しで雑魚敵に10回くらいリトライする始末だったので途中でノーマルに切り替えました(あくまで自己満足でトロフィー・アチーブメント要素に絡まないためご安心を!)
リカバリーは効くとはいえノーマルでも十分に難しさはあるのですが…というのも所謂フロムゲー(ソウルライクとも)の要素があり、行動パターンを覚えて敵を打倒する側面が強くなっています。
それが絶妙な達成感を生むんですよね。
上述のように敵の一撃が重く、基本的には全て反応してアクションで切り返していくのですが、全て対応出来ればノーダメージで撃破できる仕様になっています。
(回避、ジャンプ、パリィ、グラディエントカウンター等の種類があり、物語の進行により追加。また回避以外は成功時に反撃で大ダメージを与えることが可能ですが、その分コマンド入力タイミングがシビアになっています)
エイムというのは、ターゲットカーソルを移動させて敵本体を撃ち抜くシステムで、特定の弱点部位に当てれば大ダメージを与えたりギミックを解除することが可能。
戦闘スタイルも各キャラ固有で特色が大きく異なるため、使っていて飽きないのも魅力。
勿論ド派手なエフェクトとアクション描写も見所で、人気作品の面白い要素が詰め込まれているエンタメフルコースみたいな満足度の高いシステムになっています。

シンボルエンカウント制でファーストアタックも採用
RPG好きにはお馴染みのやーつ
そして「アクションは苦手だけど話を楽しみたい」という人のために、イージーモードも用意されているため安心です。
先の展開が気になる物語

設定が既に面白いのも含め、冒頭でいきなり謎を呼ぶイベントがあったり「先を知りたい」という欲に駆られます。導線が上手く作られているなぁ、と。
「ペイントレスを討伐して人類を救う」という目的は明確ですが、遠征隊のスタンスが進撃の巨人の調査兵団(特に中期)にも似ており、外の世界はどうなっているのか、敵は一体何なのか、という好奇心に繋がっていくんですよね。
声優的な観点でいえば、ボイス言語は英語か仏語を選択出来るのですが、芝居も違和感なく物語に没頭出来るクオリティではないでしょうか(比較的耳に馴染むのはやはり英語かと思います)
というかボイスアクターというのは概ね日本特有の文化ですし、外国語での良し悪しは解りにくいと言いますか、そもそも皆さん素晴らしいので!
少なくとも、人外のキャラ含め、ビジュアルにも非常にマッチしており、キャラクターに合っているというコンテンツに不可欠な基準を十二分に満たしています。
ただ、物語の全容については触れませんが、読書が趣味であったり創作や物語に肥えている人、ゲーム体験の多い人はひょっとしたら既視感があったり驚きは薄れてしまうかも…いやいや、はてさて…どうでしょう?

真相と結末は…
是非あなたの目と手で見届けてください(笑)
儚くも美しい音楽体験
タイトルに始まり、美しい楽曲群も癖になるものばかり。
女性ボーカルで統一された儚げな旋律はルミエールの彩り豊かな世界を支えてくれます。
またインスト曲もバリエーションに富んでおり、世界観やストーリーの流れ、各シーンに寄り添っているのでドラマチック。
ボス戦等盛り上がるべきところは押さえつつ、全体から漂う空気感はどこか白昼夢のような…
似たような雰囲気の高尚さを醸し出す楽曲はJRPGでも数多ですが、不思議と洋ゲーにしか出せない親和性の高さがあるんですよね…。
これがお国柄が成せる技なのか、意図した演出なのか、JRPGの枠にあまり無い芸術性を感じます。

日本の抹茶とか、エチオピア産の珈琲とか
そんな感じですかね?
悪いところ
度外視は出来ない大事な部分。
やっぱり目立つところもあります。
味付けが日本人に合わない

冒頭で日本人にもしっくりくると書いておきながら言うのもなんですが…(笑)
外画チックといいますか、全体的に味付けが「洋ゲー」なんですよね(それはそう)
キャラクターもリアル寄りなのに微妙にデフォルメされているというか、デザインもメジャーな日本人が好きそうな方向ではなく、誤解を恐れずに言えばジャパニーズスタンダードではない感じ。
それがまた良い味わいを出してはいるのですが…

例えるなら…
ピザというより、ピッツァみたいな(え?)
決して外画が嫌いというわけではない(というか外画の方がよく見る)ですが、この辺り感性や文化圏による”ウケ”の違いからくるものなんでしょうか…結構人によって好き嫌いは分かれるかもしれません。
また先にボイスについて触れましたが、台詞の言い回しやジョークも完全に海外向けなのも当然ではあるのですが、早口なシーンだと日本語字幕が追えず流れてしまうのは残念でしたね…。
それゆえに表現できることもあるでしょうが、正直僕には少し合わなかったかもしれません。
(日本語ボイスが実装されれば少し変わってくるかも)
これがJRPGに沢山触れていることの弊害…だとしたら少し悲しい気もします。

その分沢山の良質な作品に幸せを頂いているので、
悲観的になる必要はないですけどね!
視認性が悪い

目を奪われる美麗なフィールドも特徴的な本作。
なのですが、それが災いして同時に視認性が悪くなってしまっている点も否めません。
本作は所謂ダンジョンとワールドの二種類のマップが存在し、後者のフィールドマップは存在するのですが、前者にはそもそもマップ自体がありません。
特に移動の指標となるダンジョンのミニマップが無いのはあまりユーザーライクではないです(その方が好きという方もいるかもしれませんが、僕は不便に感じました)
シンプルに迷うというのもありますが、移動可能な範囲と接地不可のオブジェクトとの境界がわかりづらいのが地味にストレスでした。
世界観の設定準拠で言えば、マップについては「過去の遠征隊が全滅していて軌跡が残ってないから」という意見もどこかで拝見しました。
一定の説得力はありますが、であれば多くのゲームで初めて訪れる場所で地図がある方がおかしいという話になってきますし、前提としてゲームはメタ視線が必要ということでもあり…。
その他、全体に靄がかかっているようなエフェクトが次の目的や進路も曖昧にしている印象があり、全体的にビジュアル&世界観先行の作りになっていることが逆効果に感じてしまいました。

簡略化=ヌルゲーになっている作品に対してのアンチテーゼなのかもしれねェ…
作り込みが甘い
マンパワーで押し切れない少数精鋭のインディーだから、といえばそうかもしれません。
ですがゲーマーであればこそ細かい粗が気になってしまうのが性でもありますよね。
具体的には以下のような部分が気になりました。
・用語がファルシのルシがコクーンでパージ
⇒ピクトス、ルミナ、ネヴロン etc…基本的に絵画関連のものが多いと思われますが、世界観用語が多数登場するのに対し些か説明が不足しており、直感的に馴染みにくいように感じたのでTIPS等で別途用語説明は用意した方がいいと思いました。

ファルシ云々でピンとこない方は…FF13を検索!
・モノローグの翻訳
⇒台詞はいいのですが、コミュイベント等で表示される字幕が、そのまま直訳したような日本語としておかしい文体なのが少しノイズになりました。
・キャラクターのモーションに違和感がある
⇒特にジャンプは正直最初少し笑ってしまいました。ターンした時の挙動なんかも、一昔前のカクカクとした固さが見受けられましたね。
・地形にスタックする
⇒岩肌等にスタック(はまって抜け出せなくなること)しかけたり、描画が甘い部分も。因みにゲーム内でアスレチック要素のあるアクションが多少あるので、接着判定に関する影響も少なくないです。
その他、チャプターのテロップがフォントそのままで安っぽく感じたり、処理情報過多なのか特定の技を連発すると戦闘で急にBGMが停止するといった症状もありました。
全体的にもう少し精査・調整すればもっと満足度が高くなるのにな…といった所感です。
リスペクトに関して
事前にFF、ソウル、ペルソナを複合させた感じというレビューを目にしていました。
実際に正しくそうで、高グラフィックな演出はFFだし、パリィを取り入れた死にゲーはソウルだし、UIやターン制の趣向はペルソナ…(どちらかと言うと時期的にもメタファーに近いか)
また終末感はニーア:オートマタにも近く、宙空に舞う建物や瓦礫の様相は真・女神転生の崩壊した東京のようでもある…。
良く言えば楽しい要素をミックスさせているし、悪く言えば寄せ集めのオマージュ。
これらのリスペクトが「パクり」と映ってしまう人には、拒否感があるかもしれません(僕はペルソナ大好きマンですが、不思議とそこまで意識しませんでした)
ただFFで言うと特に15は思い入れがあるので、遠征隊の衣装=王の剣を滅茶苦茶意識したと感じちゃいましたね(笑)カラーリングもですが、細かい装飾がそのままだったり…流石に無視できませんでした。
戦闘時の動きもシフトっぽいですし、「ルミエールの剣」なんてワードも出てきましたし。


特にひっかかったのはこの辺りですよね(一部界隈の方は発狂しそう)
ただまぁ、これが新作のFFだと言われれば得心してしまいそうな気もしますし、事実面白いポイントが詰め込まれているからこそ、多くのプレイヤーに評価された所以ですよね。

もう一つのFF7と名高いゼノギアスのようなポテンシャルを秘めてる!?
垣根を超えたAAAタイトル

と簡潔にまとめてみましたが、いかがでしょうか。
僕自身ずっと気になっていて、宿命というか、勉強のつもりでプレイしてみた面もあります。
前評判が高すぎて敷居が上がってからのレビューではありますが、数々の賞を受賞していることからもわかるように、インディーだとかの垣根を超えたAAAタイトルと遜色無い秀作です。
気になる方はやってみて損はないと思うので、是非手に取ってみてください!
それから偶然ですが、なんと!
ちょうど本記事掲載日がエクスペディション33の発売一周年だそうです。
おめでとうございます!
プレイタイミングで追加DLCもありましたが、何やらアップデートも予定されている様子?
これだけ話題だと、今後続編の制作もあるかもしれませんね!
いやーしかしね。
この世界にはまだまだ面白いものが隠されている…探求の旅は続くのだ。
そんなこっちゃで。
Bonne soirée! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

