【声優】サードドアを考える【入った後はみんな一緒】

声優

Bonsoir! 川古です。

人は生きるうえで色んな選択をします。

その中でも「職に就く」というのは人生で最も大きな決断、節目の一つではないでしょうか。

言い換えれば、それまでがどんなに苦難にあふれていても、希望の仕事が出来たり成功すれば満ち足りた人生を歩めるでしょう。

逆にどんなに学業優秀で偏差値の高い学校を卒業できたとしても、やりたいことや仕事ができない人生はつまらないものですよね。

とはいえ、世の中の多くの人はなりたいものになれなかったり、希望する職に就くことが叶わなかったりします。

前回、人生の選択におけるサードドアという考え方について、以下の書籍について記事を書かせていただきました。

本来は書きたいテーマから逆引き的に読んでみたのですが…
非常に感銘を受けたため、2記事に渡って書いてしまった次第です!

今回は、サードドアの考え方について、声優という業界に絞って考察してみたいと思います。

「The Third Door サードドア 精神的資産のふやし方」は本当に素晴らしい本なので気になる方は是非お手に取ってみてください!

サードドアとは

三番目の扉、三つ目の隠された方法。

「サードドア」とは、先述の書籍において、著者であるアレックス・バナヤン氏が提唱する呼称です。

過去の記事でも触れていますが、改めて概要を記載します。

ファーストドア(第一の扉)=99%の人が並び行列を作る正面入り口

セカンドドア(第二の扉)=選ばれた人だけが利用できる入り口

サードドア(第三の扉)=裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けた先にある入り口

三択で可能性の高いものから順に列挙していく手法は情報を整理する上でも効果的ですよね。

そういった意味でもサードドアの概念はわかりやすく、個人的には直感的に非常にしっくりきました。

きっと頭の中でなんとなく潜在意識として感じていたという方は、少なくないのではないでしょうか。

細かくみればフィフスドアくらいはありそうな気もしますが
三つというのが、より効果的に心に訴えかけてくるのかもしれませんね!

順番に見ていきます。

ファーストドア=多くの人が使う扉

声優になろう、と思った時にまず検討するのは「事務所に入るための方法」じゃないでしょうか。

スタート地点は人それぞれであり、(本質的には事務所に入ること=目的ではありませんが)学びを得る+チャンスを得るという意味で殆どの人が選択するのは専門学校か養成所へ通う方法でしょう。

他でもない、僕自身が選択した道もそうでした(一応学生で演劇をした下地はありました)

そして多くは、一つではなくいくつかを並行して入所試験を受けると思います。

明確な目的がない限りは、これは普通の就職活動で何社もエントリーしたり説明会を予約したりするのと相違ありません。

いわば「王道」です。

表面的にはお金がかかりますし、言うまでも無く競争環境に身を置くことになりますが…ただし、ある意味一番楽な方法です。

それは「とりあえずこれをしておけば問題ない」と、さして考える必要がなく多数派に身を委ねられるからです。

とはいえ、先述のとおりこの方法は王道であり、事実たくさんの著名な声優もこの道を辿っているでしょう。

「卒業生として~役で有名な〇〇を排出!」といった宣伝をされている所も多いですよね。
これはブランディングとして当然の戦略ではありますが「うちに来れば〇〇のようになれる」ということです。

ただし、そういった方々の多くは才ある「持っている人」であるということに着目しなければなりません。

残酷ですが、声優に関していえば、まず門戸自体が広くありません。

声優にとってファーストドアにあたるこの道は、最も選択しやすいと同時に、最もパンパンな状態だといえます。

それは必然、商品価値として多くを有しているごく一部の人が選ばれるということ。

相性やタイミング等色々な要素がからんでくるとは思いますが…
そんな中で、同じ穴の中で、同じ物差しで勝負しなければならないという、過酷な環境であることは認識すべきでしょう。

また今の時代、情報はいたるところに転がっています。

ジャンルに関わらず、本来自分の気持ち次第でスキルアップを計ったり、成果を出すことは出来るでしょうし、出資をしなければいけないなんて決まりはありません。
勿論、必然何かを成すためには少なからずお金がかかりますが、その程度が大きいから偉いということもありません。

それでも、お金を支払って何かを得るという手段を選択する人、そうしなければ出来ないという人が多いような気もしています。

言ってしまえば「一番手っ取り早い」んですよね
だからこそのファーストドアということでもあります

セカンドドア=選ばれし者の扉

二つ目は、ファーストドアの小脇に設置された扉、あるいは整えられた別の小綺麗な扉。

ここに関していえば、元々ファーストドアに並んでいた権利や条件を持つ人が、途中から並び直すケースもあると思います。
さながらファストパスを握らされて誘導されるVIP待遇です。

具体的には業界関係者と元々強い繋がりがある人や、いわゆる血縁のある「二世俳優・声優」などがそうです。
単純に親が有名人、芸能人ということで影響のある人もいます。

実際に、親が超有名人で約束された結果として某大手事務所に入った人や、住まいのご近所に仲のいい事務所関係者がいて所属したという人の話も聞いたことがあります。

この辺りは声優に限らずともよく耳にしますよね。

厳密には違うかもしれませんが、養成所等の「特待生」もこれに含まれるかもしれません。

いずれにしても、セカンドドアに並ぶ人たちは、スタート地点で圧倒的に有利なポジショニングであると言えるでしょう。

と、この点だけ取り上げてしまうと、コネとかなんとなく卑しい感じがしてしまいますが、これらはあくまでドアに入る前の話です。

そしてこれは個人的にですが、生まれ持った環境についても、ある種才能の一つだと思うんです。

才能だって望んで備わったかというと全てがそうじゃないでしょうし、逆にそれが恵まれていると感じるのか、恵まれていないと感じるのかも人それぞれです。

世の中は非情で、人間は平等ではありません。

有利な生まれや環境を持つものは謙遜や遠慮をせずに、持てる武器としてどんどん有効活用すればいいと僕は思います。

卑屈は己をクズにする!
持つ者も持たざる者も、自分を
最大限活用できたら素敵ですよね

サードドア=強い意志を持つ者の扉

主題となるサードドアですが、人によってはズルだと感じるかもしれません。

しかし、それをやってはいけないなんてルールはありませんし、寧ろ殆どいないからこそ一筋縄ではいかない道筋だということです。

もし解りやすく容易であれば、皆こぞってこの道を選択するでしょう。

そうしない、もしくはそう出来ないのには理由があるんです。

サードドアについて言い換えれば「普通の人がとらない方法をとる」ということだと、僕は思っています。

そのまんまといえばそのまんまですけどね!

少し具体的に例を挙げてみます。

人がやらないことをやる

読んで字の如く、です。

人と同じことをするということは、同じことをしている人と競争するということです。

当たり前ですが、母数が増えれば増えるほど勝つのは簡単なことではありません。
そして多くの人は、事実はさておき「自分に限っては特別で才能がある」と思いがちなんじゃないでしょうか。

この前向きマインドは一概に悪いことではないと思いますが…
基本的に傲慢さや過度な自信は人から疎ましく思われるので要注意です

運に頼らず成功を収めるには「人と競わない、もしくは圧倒的であること(勝負にならないほど)」とは聞いた方法です。

世の中やったもん勝ち、とはよく言いますが、それは先駆者が最も注目されるということでもあります。

これは敗者の言い訳等ではなくて、一つの策略、テクニックだと僕は思います。

あくまで例えばの話ですが、声優で世界一周(声に因んだ見世物で巡業してバックパッカー的に世界を周る)を成し遂げたとしたら、これは大変な偉業です。
同時に、これは僕が知る限りでは前人未踏の挑戦であり、他にはないキャリアといって差し支えないんじゃないでしょうか。

そして多分、SNS等でも多くの人の注目を浴びるでしょう。
そこから拡散して多くの方に支持されたり、ちょっとしたインフルエンサーになればメディアや事務所とも繋がるチャンスが増えると思います。

こうした挑戦は、限られたコミュニティ中に飛び込む一つの起爆剤になり得るんじゃないかと考えます。

もちろん活躍されている方はそれぞれの違った個性や魅力があると思います。
ただ、他人とは違ったベクトルで可能性を拡げられている人はメリットとなって活きてくる場面があるんじゃないでしょうか。

それは経験が芝居の引き出しになるということもそうですし、今や人気度がタレントに最重要視される時代にもなったことにも関連します。

これもまた別の一例ですが、人気のゲームアプリ「ウマ娘」に出演されている方の中に、実家が農業を営んでいて、好んで農業活動を行い”農業系声優”を売りにしている方がいることをテレビで知りました。

これってきっと、現状他に被るような農業スタンスの方っていないですよね(いたらすみません…)
実際テレビのお仕事に繋がっていますし、こういった魅力も武器になっていくんだなと感じます。

斬新なら何でもいいからやればいい、というわけではありませんが、効果的なアプローチが出来れば道が拓ける可能性があると信じています。

インサイドマンを探す

これは「The Third Door サードドア 精神的資産のふやし方」でも、一番重要であると明確に書かれていました

仕事は依頼されるものであり、資産家でもない限り自分で作り出すことは難しいでしょう。
なので、辿り着きたい場所への橋渡しをしてくれる存在が必要です。

要するに業界関係者と仲良くなる、コネを作るということです。

正直、これが出来ればあれこれ深く考える必要もないのかなと感じます。

前提としてある程度のスキルや人間的魅力が必要ですが、人に好かれる人は最強です。

とはいえ都合よく、しかも自分は有力な関係者ですと名札をつけてるような人はいないと思います。

上述のセカンドドアや人がやらないことにも通じますが、こんな話を聞いたことがあります。

それは、大手の大沢事務所に所属されている方のワークショップに参加した際、ご本人から直接聞いた話です。

  • 海外でオペラを学んでいた
  • 事務所にテープを持ち込んで売り込んだが取り合ってもらえなかった
  • 「ふざけんな!」と暴れたところ、奥にいた当時の社長が震えながら聞くように指示した
  • 結果所属となった

ちょっと滅茶苦茶で一歩間違えば色々アウトな感はありますが…
こうした普通はしないような営業(殴り込み?)が功を奏すこともあるんですね。

この例は強引ではありますが、事務所に関係者が滞在しているのは必然ですから、解りやすく直接的なアプローチではあると思います。
(もはやダイレクトアタックですが…)

しかし本当ならすごい話ですよね…
聞くと当時はバブル期のようでしたが、時代もあるんでしょうか

大沢事務所に関していえば、ナレーションで食べていけなくて先を考えていたが関係者と知り合い所属したことで食べていけるようになった、という話も聞きました。

その他には、僕が経験したことですが、とある事務所にボイスサンプルを送っていいか問い合わせたところ「基本的に音響や舞台の関係者の紹介でしかうちには入れていない」という返答がありました。
こうしたスタンスのところもあるので、やはり業界関係者と知り合うのは効果的というのは、実例としてあるようです。

また、より具体的なことをいえば、業界関係者というのはマネージャー職の方が望ましいでしょう。

マネージャーに気に入られる=仕事に直結します。
それと、他の方法や紹介で事務所に入る場合等、マネージャーが蚊帳の外の場合は嫌がられるケースもあると聞きます。

インサイドマンの支援があるかどうかが成功の鍵と言っても過言ではないので、ここを目標に据えるのもアリでしょう。

本質的な部分を磨く

成功への手段としては必要なことですが、事務所に入るのがゴールではありません。

仕事としてお金を稼ぐ商品は、他でもなく自分自身です。

一見すると遠回りですが、ただスキルを磨くというのもいいでしょう。

所属したい事務所の養成機関に入るのはファーストドアの常套手段ですが、スキルや魅力があればおのずと先方からアプローチがある場合もあると思います。
スカウトのように限定的じゃなくても、特定の環境に身を置くことで活路が開けることも。

事務所は選ぶのではなく、選ばれるという考え方ですね。

見つけてもらう必要はありますが、本質的な部分が光れば、あちら側からやってくる…
能力があれば、どこの事務所も欲しがります。

活躍されている声優の方で、当初は無名の事務所からスタートして、結果的に有力な事務所に移籍されるというケースもままあると思います。

一番難しいことかもしれませんが、長い目で見れば自分を高めることが一番有益なことです。

それから、元々舞台をやっていたとか、声優業とは関係ないことをやっていたとか…
こういったケースも著名なベテランの方には多いような気がします。

事実、恩師の中には養成所等に通ったことがないという方もいます!

俳優業の延長として発展してきた声優ですが、現在は「声優になるために」あれこれする人が殆どだと思います。
「~付属」「所属のチャンス!」「~に出演できる!」といった指標や道筋がないと不安になるのも当然です。

でも、元々声優業に保証なんてものはありません。

目に見える道だけにとらわれず、大枠の本質的な部分に目を向けてみてもいいのかもしれません。

大事なのは

今回はサードドアの考え方について書いてみましたが…
全くもって僕なんかが偉そうに言える内容ではありませんね(早速卑屈になっているクズがここに!)

考えたとて、セカンドドアが妬ましいとか、サードドアは出来っこないとか、色々あると思います。
まずもってドアをくぐることが難しいですよね。

ただドアはドア、読んで字の如く、あくまで入り口にあたる扉にすぎません。

つまり着目すべきなのは「入った後はみんな一緒」ということじゃないでしょうか。

どんなに容易にドアの向こう側に行けたとしても、その後に続かないのであれば意味がない。

大事なのは、時代に合わせ、継続して価値を提供していけるかどうか。

そもそも、ドアをくぐる必要もないのかもしれません。
(強いて言うなら影響力の高いコンテンツに関わるための扉、でしょうか)
またはドアをくぐった先にも、また新たなドアがあるのかも。


これらはジャンルを問わず、広く活用できる考え方だと思っています。
色々模索してみるのも面白そうですし、他のドアや考え方があれば是非教えてください!

常日頃から思っていますが、同調圧力というのは本当に凄まじく、恐ろしいものです。
才能や可能性をいとも簡単に潰します。

サードドアのように、新たな道に気付くことで、あなたが潰れてしまわないよう…

本記事が自分らしく生きるための一助になれば幸いです。

といったところで。

Bonne soirée! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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