Bonsoir! 川古です。
2025年の10月に発売され、先日全世界200万本を突破。今日まで数々の賞を獲得してきた大作であり僕も愛する作品の一つ、メタファー:リファンタジオ。
そんなメタファー待望の初オーケストラコンサートがついに開催!
勿論無論、再び音楽の世界でユークロニアの旅路を追体験してきました!

今年3月のメタファー:リファンタジオ展の開催に伴い発表された時から、もとい作品がリリースされた時から現実となるのを首を長くして待っておりました!
関係者各位、ATLUSの神々達よ、誠に心から感謝申し上げます。
(メタファー展のレポートは以下)
メタファー自体がATLUSでは珍しい完全新作ファンタジーRPGであり、サウンドトラックを聴きこんでいた身としても生オーケストラとの相性の良さは確証済み!
ゲーム音楽のオケコン大好きニンゲン人間ですが、とりわけメタファーへの思い入れは一入なので、今回も感動を記事に残してみました。
メタファーやオーケストラに興味がございますれば、ご覧になっていただけますと幸いです。
オケコンにはオケコンからしか採れない栄養がある!

何かしら好きなゲームがあって!
オケコンを味わったことがない方!
是非一度ご体験ください…飛ぶぞ?
開催概要

日時
①2025年7月19日(土)
<1st> 11:00開場 / 12:00開演
<2nd> 16:00開場 / 17:00開演
②2025年7月20日(日)<追加公演>
<1st> 12:00開場 / 13:00開演
会場
所沢市民文化センターミューズ アークホール
〒359-0042 埼玉県所沢市並木1-9-1
西武新宿線「航空公園」駅より徒歩約10分/バス約3分
出演
<演奏>
ユークロニア王立交響楽団
高井 優希(指揮)
<コーラス>
グローリー・コーラス・トウキョウ
<歌唱>
本良 敬典(長現山妙常寺)
片桐 舞子
池田 絢子
半谷 倫也(杉並児童合唱団)
<ゲスト>
目黒 将司
<司会>
磯村 知美
下車駅は異なりますが、所沢といったらペルソナ25周年展のところざわサクラタウンを思い出しますね。あの頃も既に暑かったですが、遥かに夏日だったので道中は中々…こんな時こそ鎧戦車に乗って移動したい気分です。
そもそも鎧戦車の中ってエアコン機器とか付いてるんでしょうか…?(ビルガ島周辺の移動で日射避けしてたしありそう)

ところでキービジュアル、国宝級すぎん?(恍惚)
会場には最寄り駅から徒歩10分程と近く、ほぼ直進で人の流れもあったのに加えて、Xのイベント公式アカウントによる道案内動画のおかげで難なく到着することが出来ました。



到着、暑い、空の青さを知る人よ…
どことなく王都の無機質さを感じられる建物ですね、と会場となるアークホールは右手側に。


マークの色味がどことなくメタファー主人公の瞳というか、ペルソナのベルベットルームの趣がありますね…会場に選出されたことに運命的なものを感じます(たまたまでしょうけど)。
敷地内の周囲を軽くうろついてみましたが、統一感もあり、内部が気になる構造でした。


いざ会場内へ。
入場自体はe+の電子チケット制で、スタッフさんに画面を確認&チェックを入れてもらうタイプ(紙も記念品として乙なのですが、最近はアプリが当たり前になりましたね)。



場内ではイベント限定グッズ販売の他、スタンドフラワー、今後発売予定のグッズの展示やレコード予約も行っていました。これは欲しい!
他にもヒュルケンベルグやジュナのフィギュア、プライム1スタジオの企画等、発売予定商品は存じておりますが、まだまだこれからですね。どんどん出していただきたい。

全て購入してしまっても構わんのだろう?
グッズ購入と前売り券の特典を引き換えた後、席に向かいます。
コンサート系イベントでホールに入る瞬間のこの浮遊感が、いつもたまらないんですよね…わかっていただける方多いと思います、はい。
プログラム

どどーん!来ました、3階層、オペラハウス形式のホールです。
青くライトアップされた様相はさながらベルベットルーム、否、アカデメイアのよう!
ゲーム音楽ライブでは通例となりましたが、今回もゲーム映像を伴った演出となるため、中央奥の巨大モニターに加えて左右に大型モニターがそれぞれ設置されていました(勿論ゲーム映像だけではなく、演奏者やシーンによってその他ビジュアルが適宜投影されます)

これまたペルソナ25th
東京オペラシティのオケコンを思い出しますね~

僕は一階での鑑賞でしたが、上階からはどのように見えたのでしょうか。
見下ろす形でしか気付けないことや別の楽しみがあるのも、現地で楽しむ人の醍醐味ですよね。
実際自分はピアノが何処にあるのか最初気付けませんでした(指揮者前、ステージ中央に設置)。

オケコンって開演前に奏者の皆さん楽器類を慣らされている事が多いと思うんですけど、お客さん見てどんなことを感じているんでしょうか…。
「はっはー、人がゴミのようじゃけえ」「見るんじゃねぇ!みせもんじゃねーぞ!(見世物ですが)」「今日のリードはいちご味か…うまし!」とか思ってるんでしょうか(そんなわけはない)

大変失礼いたしました
大変失礼いたしました(二回目)
さておき、本公演のプログラム・曲目を以下に記します。
音楽イベントでのセットリストは毎度非常に悩ましいだろうというのは主催側として想像に難くないのですが…これはかなり「押さえてきてる」と思います!
とはいえ、世界を彩る楽曲はその他にも多々ありますし「あの曲がないッ!」という方もいらっしゃると思います…なので、それはまた次の機会に是非構成に取り入れてほしいですね。
英雄譚序曲
酒場宿で朝食を
王都グラン・トラド
闘う者たちよ
支援者たち
英雄たちに捧ぐ詩
其の名はニンゲン
~MC①~
古城の街マルティラ
英雄の目覚め
旅の脚
猛き者たちよ
~~休憩~~
海洋都市ブライハ―ヴェン
繋がる手
強敵との対峙
ビルガ島
辰祝ノ都
山岳都市アルタベリー
死線の果て
~MC②~
自由の翼
我が名はルイ・グイアベルン
恐化の星
破滅の王
幻想は生き続ける
エルダの古仙郷(アンコール1)
荒野を往く者(アンコール2)
ところで曲目ってパンフレットに掲載されていることが殆どだと思いますが、購入した場合は皆さん先に見ちゃう派ですか?見ないでおく派ですか?

僕は見ないでおく派です!
(ネタバレとして捉えちゃうので、一つ一つをイントロからファーストインプレッションで楽しみたい)
前半~ 王選の旅路へ
コントローラーを握り、画面を見つめたその先へ…
探求者たる我々が心躍らせ、見守り、激励し、歩み続けた世界が再び始まります。
英雄譚序曲
序曲、冒頭は始まりに相応しく、本作OPとなるこの曲。
本作のメインボーカル(!?)と言って差し支えないであろう住職の本良さんが中央脇の扉から静かに且つ厳かに登場、通路を巡り、下手側から中央奥の高台へ(基本ポジション)。
本場の読経とグローリー・コーラス・トウキョウさんとの重厚なハーモニーが交錯し、開幕を飾ります。
本良さんといえば、完成披露イベントにて登壇されたライブの際、ステージの土台が回転する中粛々と謳いあげる様はさながら「回転説法(ATLUSファンにとっては馴染み深い”だいそうじょう”の強力なスキル)」であり、イベント参加者は突如顕現した即身仏に「我々は一体何を見させられているんだ…!?」という気持ちになったことでしょう!(僕も配信を拝見して、観客の様相と合わせて楽しませていただきました)
それが今回は場内を廻る運びとなったわけです。

破戒僧ならぬ徘徊僧!(笑)
掴みバッチリの演出、御見逸れしました…。
ともあれ、プロジェクト・リファンタジーとして、メタファーの映像が世に広まった頃から認知される本曲はディレクターの橋野さんもお気に入りとのこと。
原曲に忠実でありつつ生オケでの圧巻の迫力、モニターに映し出されるOP映像との相乗効果もあり、壮大な物語の幕開けを予感させますよね!
酒場宿で朝食を
優しい雰囲気が全体を包み込む優雅な旋律。
タイトルから雑多なイメージの酒場宿(この場合は”蜜蜂のささやき亭”でしょうか)な風合いですが、それよりは些かロイヤリティ溢れる印象で、王子に纏わる一行の旅だと考えればそれも納得?
日陰通りではなく、小綺麗なサンルメオ中央通りに到着したばかりの、希望を胸にした主人公とガリカの心象なのかもしれません。
トランペットの音の伸びが心地よく、個人的には本公演用のアレンジで挿入された中程のハープソロが郷愁的で涙腺に来ましたね!
王都グラン・トラド
来ました、個人的に生オーケストラで聴きたかった曲の代表格!お気に入りの一つでもあります。
主要都市のBGMってプレイングのモチベーションとしてもかなり重要ですよね。
雑多坩堝が集う無機質で無骨な王都の荘厳さ、メタファーの世界における支配の具現化でもある惺教に対しの耽美的なコーラス…作品の根幹テーマでもある”不安”をどこか感じさせるのも大きなポイントで、メタファーの世界観、THE・ユークロニア連合王国といった印象です。
地鳴りのようなパーカッションとゴスペルが圧巻ですね!
各都市には昼用夜用と楽曲が分かれているメタファー。
本公演においても曲の構成にそれら双方が組み込まれることで、朝~夜までの一日の時の変遷、人々の営み、街並みや風景の変化が繊細に表現されていました。
またオーケストラ用のアレンジとして原曲にはないメロディーラインや楽器の使用、曲の抑揚や変化が加わることで「この世に初めて生まれた魔法は、音楽」という、テーマでもあり重大なキャッチコピーの体現=要するに“メタとして聞こえるゲームのBGMではなく、自身がその場にいて世界から聞こえてくる音の世界”を感じることが出来るギミックは驚嘆に値します。
パンフレットの対談で関連した話には触れているのですが、原作に紐づいた深堀りもあり「音楽とは何か」「幻想とは何か」といった事を考えさせられましたね。
総じて、このような参加の形で作品理解が相互的に深まる音楽系のイベント経験は、かつて無い稀有なものでした…。恐るべし!

キャッチコピー(ガリカの台詞)
深すぎます…
闘う者たちよ
通常戦闘曲、というよりはピンチエンカウント的な曲調が特徴的。
焦燥感、危機感が前面に押し出され煽られる気がしてきますが、当初はこちらの戦闘曲で統一されていたんだとか!
一般的な所謂「カッコいい!」BGMとは趣が異なりますが、とはいえ命のやり取りという意味では則しているのかもしれません…行くぞ!というよりは、やべ~よやべ~よ~的なイメージ。

どことなくFF7の曲名っぽい?
とりわけ和太鼓的な打楽器の圧が感じられるナンバーで、オーケストラでの臨場感は流石。
それと後述の「猛き者たちよ」が注目されがちだと思うのですが、こちらは戦況をより感じ易く、(恐らく)フルートの音色や心理描写としての抑揚が解りやすいのは独自の魅力だと思います。
本良さんの本領(笑止)発揮であり、一番一般的なお経っぽく聞こえるのは本曲な気もしますし、サビ前しゃくり上げからのコーラスへのバトンタッチの破壊力はクセになりますね!
この曲に限らず、是非詳細な歌詞の内容も知りたいです。
ご存知の方が殆どだと思いますが、メタファーBGMにおける歌詞に当たる部分はエスペラント語という人造言語を基とした独自の”メタファー語”。
完全に新規制作というわけではなく、実在の言語を取り入れているのが作品の世界観に深みを与えているように感じます。
当然ですが正直なところ「何言ってるかわからん!」なわけですが、それでも感情を揺さぶることが出来るのも音楽の持つ力なのだと、再認識させられますね。
いつかメタファーストーカー倶楽部で「メタ空耳アワー」の企画、期待しています(笑)
支援者たち
支援者コミュで主に流れる、日常曲代表の一つ。
原曲の中では多いのですが、本公演のプログラムの中では何気に少ないイベント用の曲でもあり、エッセンスとしても大きく作用。
モニターに流れる支援者一人一人との掛け合いが、旅の思い出を想起させてくれたり…
改めてですが、全体の曲を通して管弦楽器の調和が素晴らしいですよね。
メタファーはファンタジーということもあり元々オーケストラとの相性がよい楽曲群ですが、よりリッチに、原曲に忠実な部分と独自のフレーズも加わって生演奏ならではの愉しみが提供されました。
そして、こうした落ち着いた曲でこそ、細かい秀逸な編曲に関して気付きを得られたりします。

NEW BOND!
英雄たちに捧ぐ詩

メタファーを代表する顔曲(顔石に倣って、かおきょく)、「これを聴きに来た」という人も少なくないのでは?僕もその内の一人です。
耳にしているだけで涙が滲む、我々の無意識的領域から直接情緒に訴えかけてくる、アカデメイアのメインテーマ、恐らく聴いた全ての人が「これは良い曲だ」と心で理解する。
ATLUSフェスにて初展示されたアーキタイプ:シーカー立像を見た際に、バックで流れていたこの曲がずっと心から離れなくて…メタファーのプロローグデモ体験版および製品版のライブラリ画面でも使用されていた時はビジュアルと合わせて喜々としていました!
備え付けの石像、会場の形状や演出も相まって、現地を訪れた観客全員があたかも自分がアカデメイアに迷い込んだのでは?と錯覚したことでしょう。

否…あそこは紛れもなくアカデメイアだった
杉並児童合唱団の半谷倫也さんのボーイソプラノの透明感、追従する壮大なコーラス、清澄な空気感と共鳴し広がる音場、全てが調和し感情を揺さぶってきます…。
生で聴けたことに対する喜びと感謝が半端ない…感無量とは正しくこのことです。
終始鳥肌が止まらなかったのは空調のせいではないはず…本当に聴けて良かった(ギャン泣き)
自分もこれ、いつかピアノで弾きたいな…
というか日本の国歌にしません?ダメ?(それはそう)
作曲の目黒将司さんにとっても思い入れのある本曲。
制作当時、最初は普通の大人のコーラスだったが何か違う…と例として挙げた「ボーイソプラノっぽく」という案から、実際にボーイソプラノ起用という流れになったそう。
直感的に、成長の一時期しか存在しない刹那的で感傷的な輝きを掬うセンスは流石の一言。
多くは語りませんが、設定の観点から見てもペルソナの「全ての人の魂の詩」とよく比較されると思いますが、劣っている点があるとすれば経験値、積み重ねだけだと思っています。
ペルソナはシリーズ化していて、メタファーはそうでないというだけ。
(無論双方素晴らしく勝ち負けで判断するものではないですが)
目黒さん曰く「早く完成していればもっと色んな曲にフレーズを差し込みたかった」とのことで、この讃美歌的でファビュラスな約3分半の叙事詩は「メタファー:リファンタジオ」という作品の根幹にある欠かせない一曲であることは言うまでもないですね。
其の名はニンゲン
襲い来る赤き光、赤は危機を表す心象風景…、感極まる中、魔を差してくるニンゲン(笑)
管楽器の低音のひび割れが「ニンゲン」の尋常ではなさを表してるようです。
後半のリフの重ね方と盛り上がりの量感が凄く、打ち付けるようなパーカッションもメタファーのボス曲では見所聴き所。
モニターには、色々な意味で我々を苦しめたニンゲン達が……後世、しかも日本という国でピックアップ・オマージュされるモチーフ元であるヒエロニムス・ボスの心境はいかに…。
生オケは原曲から更にバリエーション豊かな演奏を味わえるのは前述のとおりですが、伴って尺もオリジナル・サウンドトラックの収録音源よりも長めになっているため、異形を前にした時の絶体絶命を体現したかの如く、鬼気迫るものがありましたね!
ここまであっという間、息もつかせぬ間に7曲が終了し、MCタイムに突入。
司会を務めますはイソッチさんこと、ATLUSにも縁ある声優の磯村知美さん。
ペルソナ5では東郷一二三、メタファーでは王権競技会の候補者の一人リナ・カイデン役も演じてらっしゃいますよね。
下手から雰囲気に合わせた青い綺麗なドレス姿にて登場し「コージュラ」と一礼!(?)

コージュラ(はなほじ)
流石ご自身も数々のATLUS作品を嗜む程のゲーマーゆえ、解っていますね(笑)
続いてゲストの大明神こと作曲の目黒さんも登壇し、本公演へ寄せる想いや、実際にオケを聴いて新たな着想も得たこと、ちょっとした裏エピソードなんかも語ってくれました。
いつもニコニコされているのが、大好きなんですよね~(ガンズアンダークネスの開発頑張ってください!)
事前のインタビュー動画では後楽園遊園地よろしく「僕と一緒に楽しみましょう!」と仰ってましたが、ゲストも兼ねて文字通り実際に現地で鑑賞されていたんだとか。
回によってはデザイナーの副島さんも来場されていたとかで、是非拝謁したかった…どのあたり座ってらしたんでしょう?(ルイよろしく特等席かも?)
古城の街マルティラ
お二人のトークで和んだところで、王都を出て最初に訪れることになる町、マルティラへ。
全体に漂う長閑な雰囲気が好きなんですよね~。
反して、本編における凄惨なエピソードは衝撃的でしたね…ホモ・ジャルゾーは人によってはトラウマになったかも…。
伸びやかな弦楽器のハーモニーが会場を包み込み、またモニターの映像では名物の砂蟲料理と「うまし!」の某シーンも流れており、笑いを誘っていました。
関連した曲である「恐怖の城」は、残念ながら本公演で披露されませんでしたが、片桐舞子さんも参加されている印象的な歌曲なので、別の機会に拝聴したいところ。
あと余談ですが、ゲームで最初到着したタイミングではアルタベリーの曲が使われていた気がするのですが…あれはどういった意図だったんでしょう?
英雄の目覚め

我が名はアシタカ!(ではない)
こちらもメタファーを代表するテーマの一つではないでしょうか。
メタファーに懸想する時はいつだって頭を駆け巡る英雄的なフレーズ!
ペルソナにおいてはキメとなる所謂覚醒、プロモーションの段階で様々なシーンで用いられていたり、別の曲でも旋律が引用されていたりするので、それも必然ですね。
本編での口上のカッコよさもあり、心震わさずにはいられません!覚醒と拡声…心臓ぶち抜いて宣誓するって相変わらず発想が狂っていますね(※誉め言葉)
やはりオケとの相性抜群、煌びやかなヴァイオリンと管楽器、小気味いい打楽器が英雄の凱旋を祝福するかのような、壮大且つ定番でヒロイックな編曲も目黒さんの手腕の成せる技です。
ところで、本オーケストラの基幹となるユークロニア王立交響楽団は、東京室内管弦楽団(TOKYO Chamber Orchestra)さんを中心に結成された演奏隊。
ゲーム等のジャンルにおけるシーンでも、数々の演奏をされてきた歴史ある団体です。
言うまでもなくユークロニアとは連合王国のことであり、メタファーにおけるキーワード。
その王室が抱える楽団という設定で(実際に作中で歌姫ジュナが歌唱する際に演奏隊は見受けられる)、世界観に合わせたネーミングを起用し最大限イベントを楽しむためにファンに寄り添った試みは、企画としてとても素敵ですよね。
作品理解が深い人々が一同に集うことで、偉大なるエンターテインメントは作り上げられるのである(キリッ)
旅の脚

この曲も生オケで楽しみにしていた曲の一つ。
鎧戦車は物語の進行に応じて後半BGMで雰囲気が一転しますが、個人的にはこちらの方が好みだったりします。
鎧戦車ってメタファーの最たるユニークな象徴であり、RPGで他に類の無い特殊な乗り物・移動手段でもあり、魅力だと思うんです。
エヴァンゲリオンのメカデザインの山下いくとさんがデザイン原案を担当していることもあり、独特の気持ち悪さ(※誉め言葉)というか「虫×獣×ロボット」みたいな、無骨な塊がガシャンガシャン野を駆ける様が男心を擽るんです!

男の子ってこういうのが好きなんでしょ?
街宣と凱旋をかけたようなオシャンな言葉遊びも勿論、そんな鎧戦車の移動を究極的に表現している楽曲といえば、やはりコレ。
とにかくイントロから既にパーカッション・打楽器によるリズムと漢祭感(?)による高揚感があって、どことなく漂うレトロ感も熱い。
実際の迫力に身を委ねながら、僕も”旅の脚”に揺られてみたいなと思った次第です。
イカした鎧戦車の曲ですが、好きな理由の一つとして、使われるシーンに則したネーミングが秀逸なところがあります(“足”ではなく”脚”なところも洒落ている)。
流石目黒さん…と思いきや、メタファーの楽曲名は全てATLUSのプランナーが考案されたそう。
昨今のペルソナ等は洗練された英語タイトルが多かったりしますが、メタファーは全て日本語でシンプルなものが多いですよね。
曲のタイトルって単なる飾りではないので、一つ一つに思いを馳せて想像してみるのも、また乙な楽しみ方かもしれません。
猛き者たちよ
前半の締めとなるこちらが、所謂「カッコいい!」方のBGM(笑)
ここで来たかーーーー!という。絶対外せない、一番の聴き所です!
チャンスエンカウントの曲ではありますが(通常の定義によりますが)、本編ではこちらの方がより多く耳にする曲でしょう。
僕もリリース前からPV音源等で何度ヘビーローテーションしたか解りません…。
流石、最後に完成したBGMだけあって完成度の高さとヒロイックさはニンゲンもビックリ(というか一周回ってニッコリ)の怪物級です!
生オケでは全体的にBPMが高めのアップテンポで、本良さんとコーラスも一際疾走感と熱を伴っていました。

これはRPG史に語り継がれるべき名曲!
うぉい!(しゃくりあげ)
Aメロのアグレッシブな琴楽器には特にスポットが当たっており、またペルソナにおけるLotus Juice兄貴の高速ラップにも負けない読経のインパクト、そしてメロディーのキャッチ―さは非の打ちどころがありません!
また本良さんに合わせて「ジャン!」というスタッカートな曲の締め方も迫力あって素敵でした。
僕は常々、ゲーム作品における音楽というファクターは最重要事項と捉えていて、中でも戦闘曲はプレイモチベーションに直結すると考えているんですが、本曲はメタファーの世界観をしっかり体現しつつも完璧に近い仕上がりであると感じています…いや本当、好きすぎる。
きっと同じ気持ちの方が多い証左として、この時の拍手はここまでのプログラムで一際大きかったと記憶しています!
休憩中はモニターにニューラスの旅の風景画が映し出され、ゲーム内の酒場で吟遊詩人が演奏してくれる各都市のギターソロアレンジ版(サントラ収録の「旅情」)を流すという粋な演出もありました。

また余談ですが、追加日は交通で遅延が発生した関係で開演を15分遅らすという処置がなされていました。タイムスケジュールが重要な興行ではこういった厚意は中々見られないと同時に、ニューラスと同様に運営の温かさも感じられる旅情でしたね…(そんなにうまいこと言えてない感)
中盤~ 世界の真相へと至る道
旅は中盤。小休止を挟み、世界を彩る曲もより色味を増していきます。
海洋都市ブライハ―ヴェン
後半一曲目はオセアナ公国の首都、水の都ブライハ―ヴェン。
港町もまたファンタジーにおける王道、潮風が感じられるような爽快さがあります。
また目黒さんのお気に入り曲でもあり、昼は船乗りの勇敢さ、夜は和太鼓風の「ドン!カッ!」という音色がお祭り後のような余韻を醸す情緒溢れる構成で、とりわけ昼夜の二面性が際立つ曲ですよね。
各楽器からもマルティラとは違った絢爛さが窺えて、後半開始のアクセントとなっていました。

耳を澄ませば確かに…
もう一曲遊べそうですね(え?)
途中から気付いた人も多いかと思いますが、グラン・トラドから始まり、マルティラ、ブライハ―ヴェン…と、本公演プログラムは概ね物語の順路をなぞる形式で進行しています。
いわば「王道」の構成でもあり、王選の旅路を追体験できるような仕組みは、リスナーでありプレイヤーでもある我々の心をくすぐる試みと言えるでしょう。
(先にパンフレット読んだ人は解っていたでしょうけど!)
さながら幻想小説よろしく、本をめくるようにめくるめく展開される曲目…
当たり前のようでいて、纏まりと心情同化させるため工夫が垣間見える大事な演出ですね。
繋がる手

ええ、これは泣きました。感涙必至の泣きメロ代表、大好きな曲の一つ。
支援者コミュでの絆が結実するシーンや心温まるシチュエーションで用いられる曲ですね。
会場の生オケでこそ聴きたいと切望した願いが叶えられました…。
原曲はシンセが使われていると思うのですが、豊かな弦楽器の演奏によって見事にアップグレードしていましたね。
メタファーの楽曲群は基本的に目黒さんによる作曲ですが、こちらはATLUSサウンドチームの喜多條さんによるもの。素晴らしいです。
種族を隔てた和解、失われたものの想い、未来へ継がれる希望…様々な思惑が込められている気がして。握手とは、このことだったのか…。
そしてマリアの顔が浮かんでくる…守りたい、その笑顔。

ピアノ使われている曲泣けるあるある
強敵との対峙
中ボス戦用の曲という印象ですが、音の高低の往来、パーカッション的には一番激しいと言っても過言ではないくらい終始激しさ溢れる内容。
もし前半がここまで含まれていたら、奏者の皆さん体力が限界を迎えていたかもしれません…
生でも中盤の劈くようなコーラス然り、ゾクゾクさせてくれましたね!
室内温度が2度くらいは上がっていたんじゃないかと思います(わかりません)

大砂蟲の腹中で聴くこともあって、
どことなくキングダムハーツの下村さんみを感じるのは僕だけ…?
(より具体的にはモンストロ)
ビルガ島
タッタラタッタ、ティンタッタ…
ここでタブラボル(インド発祥の音を口で表現する技法)を自在に操る池田絢子さん登場です。
(本良さんが座する高台へ至る中腹あたり、リラックススタイルでの歌唱)
初めて聴いた時に非常に印象的だった方も多いでしょう、まさか生の人間がソロで歌いあげているとは!衝撃です。
ハモり等はあるでしょうけれど、絶対編集音源だと思っていました…。

立ちましょラッパでたちつてと!
トテトテタッタラティンタッタヂ(舌噛み)
民族音楽を主軸として、ムツタリ族、島の気候や宗教観が秀逸に表現されています。
昼は軽快に、夜は囁くように…自然の在り様が如く彩り、またゲーム音楽イベントでここまで異文化の風を感じることが出来るのは、メタファーの醍醐味ですよね。
後半で「ビルガ島 -夜-」に切り替わるのですが、ステージを囲む壁に照明が当てられ、竜神の祭の炎の揺らめきを再現した動的で粋なライトアップ演出が印象的でした。
全体を通して魅力的な照明演出はあるのですが、特に主人公(ウィル)の目のカラー=青と黄色を頻繁に用いていたのはすぐに気が付きました。
それはさながら、主人公の眼を通して世界を俯瞰・見聞しているようで、舞台を一層引き立て、客席にいる我々の感情移入を後押しする素敵な試みでした。
(…というのは、都合よく曲解しすぎでしょうか)
生オケなのですから演奏を見よう!というのは定石として、モニターの映像は勿論、こうした細かい仕掛けもあると(誤用ですが、イイ意味で)目のやり場に困ってしまいますよね。
辰祝ノ都
世界樹の迷宮シリーズ、のメタファーアレンジと言えばよいのでしょうか。
僕は未プレイのため寡聞にして知らなかったのですが、お馴染みの曲とのことで、場所の名前含めて登場した際はニヤついたファンも多いのでは。
そういう意味では僕は無知の状態から入ったので、多分ストロールとかと同じで純粋に「見ろよ!地下に空が!でかい建物が!」みたいな気持ちでした(笑)
該当箇所に台詞のボイスが無いので、竜に纏わる都だし、暫くは「エト…干支の辰=タッシュク?」という読み方をしており、後々SHINJUKUとマップにルビが振られていることに気付き「シンジュク……新宿!?」とハッとしたものです…。
都民ファースト!(違う)

これは世界樹のオーケストラコンサートだった?
曲調自体、シンプルにオケに合いますしメタファーの楽曲として異物感も無いんですよね…。
寂しさ7割、優しさ3割といったアンバランスな調和が不思議な感覚にさせてくれる、儚くも美しいメロディーラインに会場が包み込まれます。
それにしてもATLUS、手癖のように事あるごとに東京を滅ぼしてきよる…(笑)
山岳都市アルタベリー
惺教の総本山ということで、演奏も荘厳という言葉がしっくりきます。
全体的に冷たさと厳しさを漂わせる曲ですが、夜のサビが心地よいんですよね…
これまた今更ですが、モニターでの街を歩く景観カメラワークがまた上手くて、没入感を高めてくれていました。
この曲も街並みをよく表現されていると思いますが、聴いていると情景が自然と脳裏に浮かんでくる…これは質の良いゲーム音楽である一つの条件といえるでしょう。
ファンタジーだと難しいかもしれませんが、ペルソナなんかの現実を基にしたローファンタジーでは、街を歩く際はよくBGMにしたり、聖地巡礼のお供にしたものです。
そしてアルタベリーといえば歌劇場………もしかしたら我々は惨劇の目撃者だったのかもしれない(埼玉だよ!)
死線の果て
ボス曲、より正確には特に熱い想いが迸るような強敵とのバトルシーンで使用される戦闘曲。
〇〇で言うところの~…と変換癖があるのですが(笑)、ペルソナ5でいうところの「Blooming Villain」ですね、使いどころ含めて。それだけに惹かれるものがある。

その後の「幻想の終わり」で
浄化されるまでがワンセット!
流れるような高音のヴァイオリン…キャッチ―な音運び。
この曲も一曲中における起承転結、演奏による心理描写の変化が素晴らしいです。
個人的に、演奏後半で上手側コントラバスが弦をバッチンバッチンとクラッチングする奏法が大変迫力と見応えがありました!
ここで二度目のMCタイム、改めて磯村さんと目黒さんが登場。
引き続き本公演に関するお話を聞きつつ、残りもあと僅かであることを予感させます…。
(而してMCの真価は、演者・奏者の息継ぎにこそ見つけたり!)
読経と音楽のミックスこそメタファーにおける無二の特色であり、シンボルとして輝く本良さんですが、住職を指揮するというのは未曾有な構図…
指揮者として全体を牽引する高井さん曰く「本良さん=概念」の認識で指揮しているとのことで、珍妙かつ貴重なコメントも聞けて面白かったです。

ひょっとすると、タクト型COMPで操っていたのかも…
デビルサマナー高井!(尊敬)
また後述するリーディングライブの情報も解禁され、多いに盛り上がっていました。
本良さんのトークは残念ながら聞けなかったので、また別の機会に!
後半~ 未知なる希望の未来へ
王選の旅路も最終盤。幻想の終わり、或いは始まりを見届けるために…。
自由の翼
ここで新たなシンガー、片桐舞子さんが華麗な衣装でステージ前方へ。
メタファーサウンドの中では幾つか民謡的な歌唱付きの楽曲がありますが、その内の一つであり物語後半の鎧戦車BGM「自由の翼」が満を持してお披露目となりました。
個人的には「旅の脚」の方が”鎧戦車”って感じがすると思うのですが、勿論こちらも滅茶苦茶好きですし、こちらの方が好きという方も多いでしょう。
ニューラスの夢、ですね!

初めて飛んだ時の急転換は搭乗者ただでは済まないと思う!
(マグラのおかげということにしておこう…)
例によって歌詞で何と言っているのかは解りませんが、片桐さんという歌姫によって情感豊かに力強く歌い上げられるそれには、音だけで伝わる凄みがあります。
クライマックスに起用されているという相乗効果とJRPGの黄金比もあると思いますが、ATLUS作品のボーカル曲は例外なく我々の心を掴んで離してくれませんね!
我が名はルイ・グイアベルン

宿敵ルイとの決闘、物語の急展開はプレイヤーの我々を大いに驚嘆させました。
メタファーにおけるアーキタイプ覚醒の宣言が曲名にされている点は、彼が他とは一線を画す畏敬たる存在であることを高らか突きつけられているようです。
ヴィランとしての威圧的な力の中に感じる一種のヒロイックさは、生演奏においても遺憾なく、より雄大に発揮されていました。
サビ周辺はコーラスも伴って、彼が心の深奥に抱える痛切な叫びや、どことなく切なさがこみ上げてくるようですね。
自分は特にルイ派というわけではないですが、ルイの掲げる思想、スローガン…同調する部分があることも、多くの共感を生む理由であり、民衆のカリスマたる所以なのかもしれません。
いつか深堀するための過去やサブエピソード等が語られる機会を希望します!

会場の規模、客の数は自由にしろ
但し死ぬ気で聴きに来い!!
あと銃は捨ててこい!!(コマンド―)
恐化の星
本編タイトル、アーキタイプ覚醒、クライマックスと使用されている曲ですが、本オケの中でも独特のアレンジが施されたものの一つ。
物静かなピアノとコーラスから入り、次第にオリジナルの盛り上がりへと変遷していく…
原曲と明らかに異なる様相で、不安が心から誕生し禍々しく増長していく様が感じ取れましたね!
全体通してコーラスが主導するような重々しいナンバー、高音と低音の共鳴が美しいです。
やり込みのため後半は某所に籠ることも多かったので、良くも悪くもこの曲が耳に残ってしまった方は多いのでは?(笑)
破滅の王
メタファーにおけるラスボス曲の位置付けであり、メインテーマのフレーズを曲中に組む感動の絶対法則、ペルソナ3における「全ての人の魂の戦い」の奔流を踏襲…。
一行を見守ってきた我々をカタルシスへと導く究極の一矢となっています。
此処に至るまでに出逢い、闘い、和解し、時に命を奪い合った者全ての人の様々な想いと、ユトロダイウス5世の託した夢が集結していく様がやんごとないですね!
後半に紡がれる「英雄たちに捧ぐ詩」のメロディーラインが情緒を破壊しにきます。
またコーラス隊の合唱に奪われる視線⇒合わせて客席側へ照射される神々しい後光のような白い照明が、強大で尊大なラスボスと対峙する死線とプレイヤー目線を表現していたのも非常に評価したいポイントです。
ラスボス曲というのは通常バトルに並んで重要で、且つ一度しか聴けない須らく特別なものですが、メタファー流の”おもてなし”が詰まった演奏と演出に息を呑まれましたね。
幻想は生き続ける
満を持して、終わりを告げるエンディングテーマ兼神曲!
メタファー:リファンタジオに感動した全ての人が待ち望んでいた生演奏の一つですよね。
こちらも「破滅の王」と類似した編曲の流れを組んでいますが、冒頭の淡々とした読経から繋いでいく壮大な混声、その後の緩やかな各楽器のアウトロは涙を禁じえません。
探求者に向けられた、モアの温かいナレーションが鮮明に蘇ってくる…

心が洗われる、とは正にこのこと!
プレスターンアイコン全回復ですね
ペルソナのクリエイターチームが制作しているということもあり、多くの共通点を孕むメタファーですが、世界観を鑑みてエンディング曲を敢えて解りやすいボーカル曲にしなかったのは英断だと思うんです(逆に日本語や英語詞で歌われていたら「思てたんと違う」感があったかな、と)。
メタファーの良いところ全部盛りみたいな贅沢な曲、こちらも生オケという同じく贅沢な機会において昇華することが出来て幸せでした…。
ここでモニター映像演出に関して一つ感動したことがありまして。
その理由なんですが、以下の画像を見てください。

この背面のパイプオルガンの装置、理想郷のビル群に見えませんか?
実際の映像は演奏中撮影禁止でお見せ出来ないのですが、幻想小説の表紙然り、モニターに流れるエンディングの映像=本編でも使われている大都市の夜の輝きが映える小説の挿絵が神懸かり的にマッチしていて気付いた時は絶句しました…(サブリミナル効果!?)
他のオペラハウス系の会場も拝見したことがありますが、パイプオルガン自体は備え付けのもののはずなので、偶然の産物のはずなのですが…まさに奇跡、これを意図していたとしたら天才ですね!僕の完全な都合のいい思い込みかもですが…
こうした演出については、是非一度全般の意図についてお聞きしてみたいところです。
エルダの古仙郷(アンコール1)
恒例のアンコール、ドレスコード的に中々声は出せないので拍手で促す形式ですが、年々腕の疲労が…あと毎回手に痺れが残る(オケコンあるある)。
本プログラムでは二曲用意されており、一曲目は作中で超重要なロケーションである「エルダの古仙郷」、秀逸なストーリーギミックは鳥肌が止まりませんでした。
プレイにおいては、背後にあるユークロニアの歴史や惺教、イベントで喪失感に苛まれつつ希望との間に揺れ、忸怩たる思いでしたね…。
ただ、旅の流れをなぞるプログラム構成において、ここでこの曲をチョイスしたのは…何か理由があったのでしょうか?(純粋な興味)
殺伐とし過ぎず、ボーカルの入れ替えも無いので、適任だったという面はあるかもしれませんね。

もしくはアンコール=再誕…とか?
荒野を往く者(アンコール2)
二曲目、本公演の大トリとなるのは、ファンの集合的無意識として”知っていた”曲(ここまでプログラムに無いのはおかしいと思ったはず!)
そう、勿論「荒野を往くもの」です。
本オーケストラのキャッチコピー&テーマにも紐づかれるこの曲は、やはり特別な意味を持つんですよね。ステージ前方にはマイクが複数並べられ、なんと歌い手の皆さん総出でスタンバイ。
静寂に包まれる会場、そしてモニターには音声付きで物語冒頭のシーンが…!

なんと胸を打たれる素敵な言葉か…。
画像のガリカ(cv.諸星すみれさん)の台詞から始まり、演奏がスタート!
ここまで来れば想像に難くない、まさかの“歌い手全員参加ver.”です。

考えた方…あんたが本物の妖精だよ(意味不明)
なんという粋な演出、なんという音楽の素晴らしきことよ!
原曲では本良さんと片桐さんの歌唱でしたが、それに加えて池田さん+半谷さん+グローリー・コーラス・トウキョウによる異種混合による奇襲!壮絶なメギドラオン…いやアーマゲドノが炸裂!(PSB2017-Everyday Mix‑ を彷彿とさせます)
各々が異なった魅力を携え、さながら世界観に合わせて顕現したそれは、LAWというよりはCHAOSに近く、些かゴチャついてはいたものの人種の坩堝、多数の種族が世界を形成し織り成すメタファーらしい異彩を放っていました。
一曲一曲が一期一会の垂涎ものではありますが、間違いなくメタファーオーケストラコンサートでした聴けない至高の一品でしたね!
興奮の約二時間半、最後の最後に多くの人の情緒をグシャグシャにしつつ…本公演で紛れもなく一番の盛大な拍手に包まれて幕を閉じました!
名曲ではあるものの、本編では使用される回数が少ない「荒野を往く者」。
凄い良い曲なのに勿体ないな…と惜しく感じていたものでしたが、だからこそ特別な曲なのだと今更ながら気付かされます。
冒頭で主人公の心が折れそうな時に流れ、最初こそ「面白い発想だ!」と感心しますが、プレイしていて多分多くの人はいつの間にか他の作品と同じように「ただのBGM」に認識がすり替わってしまったと思うんです。
そして後半のとあるシーンで、再度心が折れそうなところでこの曲が流れ始め、そこで忘れていた大事なことを思い出す…。
それは常に流れていた音楽こそ幻想であり、現実に影響をもたらし打ち克つ魔法なのだと。
言い換えれば、我々の世界に当たり前に存在し根付く”幻想”は、決して絵空事なんかではないということの証左になる。
その事にメタファーおよび本公演を通して後々から気付いた時に、真の「王の魔法」が発動したような気がしました。

別作品で恐縮ですが、こんな台詞があります
「音楽は救いにはならない、だが支えにはなる」
メタファーにも通じるところがある!
世界の中から聞こえる音楽、時に探求者として、また時には旅人として。
双方から楽しみ、発見があったメタファーオーケストラコンサートは、きっと多くの人の新たな宝物になったことでしょう!
気になった点
メリットがあれば、デメリットもある。それが世界というもの。
レポートとして、一応触れておかなければなりますまい…。
①音が小さめ
少し全体的な音量が小さめに感じました。
というのも、演奏自体の迫力はあったのですが、経験上他の公演では通常「うるせええ!(※喜び)」というか鼓膜がビリビリする位のことが多いのですが、比較して若干小さめな印象でした(他の人の咳が目立っていたことからも体感聞こえ方の違いは顕著にありました)
会場や小屋のサイズ、機器の電圧等による事情があるのかもしれませんが、個人的には音量はもう少し大きくても良かったかな?という所感です。
ラストの「荒野を往く者」も、気持ち歌唱のマイク音量を上げてほしかったですね。
②曲数が少なめ
オーケストラコンサートの尺自体は十分とはいえ、思ったより演目にありそうな曲がリストに無く、歌唱の方の活躍の場が少なめだったのは残念でした。
とはいえこれは仕方がない事項で個人的な要望に近いので、次回は王道を感じつつもまた違った毛色のオケコンと再会出来ることを心から楽しみにしています!
③予算の少なさを感じた
説明が難しいのですが、会場や規模感、事前PR等の諸要素に予算・リソースの少なさを感じました。
またグッズ展開も消極的で、もっと出してくれたら欲しいのに…と思ったり(メタファー展では結構グッズ展開多かったのですが、主催の問題等でしょうか)。
それと強いていうなら、ペルソナライブのように語り部としてモア(cv.子安武人さん)の場内ナレーションとかあれば更に盛り上がっただろうな…と妄想してみたり(これはメタファー展で実現したので欲張りかもしれませんが)。
あとは、モニターテロップのオペレーションミスがあったり(初日アンコールのエルダの古仙郷⇒死線の果てになっていた&どのタイミングかは失念しましたが何度か誤っていた)、特に説明はありませんでしたが公演後屋外出口付近に謎のアンコールセットリスト手書きメモが設置されていたりなど、厳しい視点だと進行的に気になる人は気になるかな、というところがありました。
ただ逆に交通遅延を考慮して開演を遅らせてましたし、規模やキャストが多いと中々難しいと思われるフォローをされていたり、運営の温かみも感じましたね。

音楽こそ原初の魔法、オーケストラの魅力

待望のメタファーオケコン、最高だったというお話でした!
音楽は原初の魔法…ゲーム問わず、全ての音楽に精通する人の胸を打つ真実です。
二時間半程の公演時間でしたが、濃密な体験を我々に齎してくれましたね。
(余談ですが隣の女性に話しかけて少しTALKしちゃいました…最近ペルライとかでやりがちですが、現地みんな熱心なファンのはずなので、よりイベントを楽しむ為の交流があればもっと楽しめますよね)
冒頭でも触れましたが、オーケストラには特有の迫力と味わい、ライブとはまた違った楽しみ方が出来る音楽の祭典であり、ある種非日常の幻想のようでもあり、また現実です。
ライブはノリが重要だったり体力を消耗する側面がありますが、純粋に音楽を愉しめる点ではオケコンに軍配が上がると思っています(勿論ライブにはライブの良さがあります)
最低限の常識やマナーは必要ですが、ゲーム音楽のオーケストラに関しては特にドレスコードも必要ないので(そのはず)、もし億劫な方がいれば気軽に参加してみてほしいですね。
きっと新たな心ときめく”幻想物語”が、貴方を待っていることでしょう。

まずは当選する必要はありますがね!
(勝て、さすれば道は開かれん)
そして更に、もう周知の内容ですがコンサート中に新規イベント開催の情報が解禁されました!

「メタファー:リファンタジオ リーディングライブステージ」開催決定おめでとうございます!
王権競技会出立までの仲間との新規エピソードを扱った朗読劇がメインで、更に演奏と舞踊も加わるとのことで新感覚のエンタメになりそうな予感…!
矢継ぎ早の嬉しいお知らせラッシュですが、12月のペルソナ5ビッグバンドコンサートには何としても行きたいのですが…ええ、全て行けばいいのです、ええ(自分の場合半分は勉強ですね…)
そういえば昨今はコンサート系のイベントも多様化していますね…配信も当たり前だったり。
やっぱり生に勝るものは無いですが、チケット代も安くはないですから…
いやいや、同志はまた次のイベントも楽しみましょう!
最後に今一度、メタファーという素晴らしい作品を生み出してくれた制作陣。
また本公演の開催に尽力してくださった関係各位全ての方へ。
本当にありがとうございました!
また次なる幻想でお会いできることを願って…。
Bonne soirée! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。